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メンズ地下アイドルの過酷すぎる世界。取材翌日にメンバー2人が突如として脱退…

「それでも僕らは前を向いて進みたい」

 インタビューに入る前に「笑顔パンチ」の概要を説明しよう。  新興事務所が「歌って踊れる正統派アイドル」を目指しメンバーを募集、オーディションを勝ち抜いた6名で昨年末デビューした。諸事情により1名脱退したが、5人体制となって心機一転、路上ライブを中心に活動し始めた矢先に炎上騒ぎが降ってきた。 「それまでは数百再生だったのが、いきなり1日で2万回行ったからびっくりしました。僕はファンの人から可愛いキャラって言われてたんですけど、ネットでは『CCBかよw』って……」

岩井勇矢さん

 そう語るのはメンバー最年少、ピンク担当の岩井勇矢くん(19歳)。担当カラーに合わせて髪もピンクに染めたがゆえの悲劇だ。 「僕は『研ナオコ』って言われました。学校とかでも『あれ、炎上の人だよね?』って指さされたりして……」  沈痛な面持ちで語るのはブルー担当の岩崎良拓くん。「笑顔パンチ」のエース格のイケメン大学生だが、彼がアイドルを目指したきっかけは、なんと就活だったという。 「今、4年生なんですけど、学部が営業系の仕事が就職先に多いんです。コミュ障の僕には絶対ムリだってあきらめてた時に、バイト仲間に誘われてジュノンボーイコンテストに応募して。二次で落ちちゃったんですけど、芸能ってやりがいある仕事だなって、今の事務所に応募しました」  就活をしたくないゆえにアイドルとは驚きだが、さらに異色の経歴を持つメンバーもいる。イエロー担当の池内光司くん(22歳)は元サラリーマンアイドルだ。 「僕は元からアイドルになりたかったんですけど、実の姉に『アンタ鏡見たことあるの?』ってガチで怒られて。あきらめて一回就職したんですけど、やっぱり夢を追いかけたい! って上京して笑顔パンチに応募しました」  池内くんは現在、スーパーマーケットで深夜バイト生活。1日10時間以上働きながら、昼間にはライブ活動や自費でボイストレーニングのレッスンに通っているという。 「他のメンバーも学生の2人以外はバイトを掛け持ちしながら活動してます。それでも夢があるからがんばれるし、同じ目標を持ってるメンバーがいるから励まされる。炎上しちゃったけど、それだけ知ってもらえたのはすごいことだし、僕らは逆にチャンスだって思ってるんです」

真面目にメンバー同士の会話に頷く、笑顔パンチの2人

 他のメンバーも、「もう僕らは『笑顔パンチ』じゃなくて『炎上パンチ』だって開き直ってます」と笑う。無料ライブ以外でもメンバー同士で意見を出し合い、配信動画サービスのツイキャスやラインライブといったSNSを使って、自分たちで考案したバラエティ番組を発信しているという。  メジャーの舞台を目指して、地下から花開くことを夢見る若者たち。輪になって次のアイデアを出し合う顔には、宣材写真とはちがってナチュラルで清々しい笑顔が浮かんでいた。  ところで、YouTubeで9万回再生したデビューシングル『Your smile』は、炎上の甲斐あって売り上げは伸びたのだろうか? 「……今日のお客さんでやっと10枚です」  わ、若者よ、明日に向かってひた走れ! ……と、いい話で終わらせようと思ったら、取材から1週間後に驚くべき事実がツイッターに更新された。
日頃より笑顔パンチを応援賜り誠にありがとうございます。 この度誠に残念ではございますが、下記の2名を規約違反により除名処分と致しましたことを報告させて頂きます。 ・岩崎良拓 ・池内光司  さっそく2名脱退してるじゃないか! 記者の前で見せた、あの爽やかな笑顔はなんだったのだろう……。

新たに5人体制となった笑顔パンチ…

 やはり闇の深そうなメンズ地下アイドル業界。新生「笑顔パンチ」の行く末が今から心配になるが、結成早々SMAPばりの内紛劇を見せてくれた彼らに一応エールは送りたい。 <取材・文/鈴木ユーリ>
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