更新日:2022年08月23日 11:35
エンタメ

異端の映画監督・富田克也 タイ長期滞在&取材をもとに「娼婦・楽園・植民地」を描いた理由とは?

「空族」の映画に登場人物が多い理由

映画『バンコクナイツ』より

――空族作品の特徴かもしれませんが本作も登場人物が多いですね。 富田:実際に現地に乗り込んで色んな人に話を聞いていく中で、だんだん膨らませていくというのが僕らのいつものやり方です。なるべく“目の前にあることを描く”というスタンスなので、登場人物たちがいる場所がなんでそういう状況にあるのかを描くためにも、たくさんの登場人物が必要になるんです。中心になる人物はいるけど、他の登場人物がいることで全体像が浮かび上がるわけです。 ――本作品は売春にきた日本人客の悪口をバンコクの女の子たちが言い合うシーンや、ローカルバスでタイの女の子を探しに行く男が登場するなど、妙にリアルなエピソードが散りばめられていますね。 富田:現地で色んな人と話して拾ってきたエピソードで映画は作っていますが、ぶっちゃけもっとエグい話も山ほどありました。出さなかったものもいっぱいあります。 ――改めて『バンコクナイツ』が公開になった現在、本作にどんな思いがあるでしょうか。 富田:眼前に起こることを描くことが世界をみることに繋がって、アジアからの視点で日本を見返してみると、日本とは、つまりアジアだったんだなあということを、しみじみ痛感していますね。 ――映画館での上映にこだわり、DVD化しない空族作品ですが、改めて過去作を観ることで本作の見え方がまた変わりそうな気もします。 富田:今までやってきたことが全部繋がっていって、さらにその先に繋がっていく、というのが大体いつもの僕らの映画作りのやりかたです。意識していたことも意識していなかったことも含めて、です。流れに身を任せつつ、しばらくはアジアをもっと深めていきたいなと思っています。<取材・文/伊藤綾、日刊SPA!取材班>
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■作品情報
『バンコクナイツ』 http://www.bangkok-nites.asia/
(c)Bangkok Nites Partners 2016  2017年2月25日(土)テアトル新宿ほかロードショー開始。全国順次公開

■取材協力
「春夏秋冬」山梨県甲府市大里町3261コシイシテンポ3棟(『バンコクナイツ』にて富岡役を演じた空族俳優・村田進二氏が店長)
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