テロで妻を失った男の決意「笑って生きなければテロリストの思うつぼ」
だが、それでも彼は、作り笑いでもいいから笑って生きたいと願う。そう生きなければ、誰からも愛された快活な妻の死がムダになり、テロリストの思うツボだと知っているからだ。
「テロ事件から丸2年が経つ今、私を支えているのは、戦う気持ちです。日本人が海外でテロ遭遇した場合には、物心両面のケアが十分になされる制度をつくりたい。自分同様のテロ被害者の相談に乗ったり、被害者同士のネットワークを構築していきたい。そのための活動が私の戦いなのです」
もし国内でテロが起きた場合、「犯罪被害給付制度」に基づいて後遺障害では最大で約4000万円、遺族には最大で約3000万円が支給される。だが、海外でテロに遭遇した成澤夫妻への補償はゼロだった。そして、’16年に「国外犯罪被害弔慰金支給法」が成立・施行されたが、それでも国外の被害には死亡で最大200万円、障害には100万円しか支払われない。この“内外格差”を同等に是正するのが、今の成澤氏の生きるモチベーションだ。
成澤氏がひとり起居する部屋には、亡き妻への思いをつづった詩集や、亡き妻になりきって書いた手記『天国からこんにちは』など、夫婦の深い愛情を感じさせる言葉が溢れている。この小さな部屋でテロとの戦いが続いていることを、日本政府は知っているのだろうか。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
※現在発売中の『週刊SPA!』2/28発売号では「妻をISに殺された夫の怒り」という特集を掲載中。成澤さんが吐露した心境を、ぜひご確認ください。
1
2
『週刊SPA!3/7号(2/28発売)』 表紙の人/ 橋本環奈 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
ハッシュタグ