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遺体を砕いて川に捨て…被害者はヤクザまで――かつての親分が語る、愛犬家に惨殺された「子分たちへの鎮魂歌」

「死刑執行の前にすべてを話してほしい」

 アブない話も満載の本書だが、執筆は熟慮の末だった。 「私も不良として生きてきて、この件以外にも墓場まで持って行かなくてはならないことはたくさんあります。でも、癌を何度か患って余命を考えるようになり、遠藤のことだけはきちんと記しておかなくてはならないと思いました。まあ流行りの言葉で言えば『終活』であり、被害者へのレクイエム(鎮魂歌)でもあります」  髙田氏は穏やかに微笑むが、この事件における警察や検察への捜査への怒りは今もある。 「最近のヤクザは任侠道なんか忘れているようですが、関根はヤクザよりひどい存在ですよ。私利私欲のためだけに何人も殺してきたのです。2人には刑が執行されるまでにすべてを明かしてほしいですが、期待できないですね。私は、引退はしても任侠の道まで外れたつもりはありません。やはり弱きを助け、強きをくじくという『任侠道』が大切だと思っています」  すべての事件が明らかにならなければ、被害者の魂は浮かばれない。だが、果たしてその日は来るのか。 【たかだ・ようざん】 1945年、埼玉県生まれ。稲川会直参・初代髙田一家元総長。高校生の頃から愚連隊として名を馳せる。「猛者ぞろい」で知られる松本少年刑務所や府中刑務所に収監され、71年に26歳で稼業入り。90年に稲川裕紘三代目会長から盃を受けて直参となり、会長秘書も務め上げた。11年に初代髙田一家を立ち上げて総長に就任し、14年引退。著書に『稲川会系元総長の波乱の回顧録 ヤクザとシノギ』(双葉社、15年)など。 ※文中一部敬称略 取材/三島瑤
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仁義の報復 元ヤクザの親分が語る埼玉愛犬家殺人事件の真実

元組長自らがこの経緯のすべてを明らかにし、知られざる事件のさらなる深き闇にも肉迫した、前代未聞の犯罪ドキュメント

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