【摘発目前】合法ドラッグ店に潜入
「香りの強い(効果が高い)のは『モンスター』(3g=5040円)ですね。オススメですよ」
ガラスケースに並ぶ、カラフルなパッケージに入った30種類ほどの「合法ハーブ」。合法という名の下に意識が麻痺しているのではないだろうが、若い女性店員はまるで雑貨を販売するかのように軽い口調で説明した。
ここは、東京・池袋の雑居ビルにある合法ドラッグショップ『H』。ひっきりなしに訪れる、若者たちはここに「合法ハーブ」を求めてやってくる。
合法ハーブとは、興奮や幻覚作用を引き起こす大麻に似せた成分を持つ、合成カンビナノイドを植物片に混ぜたもので、若者に人気の「合法ドラッグ」である。火でハーブを燻してその煙を吸引すると、大麻同様の効果が得られるのだという。
「部屋使ってもいいですか?」
「ボング貸してもらえますか?」
常連と思しき若者達が、購入した合法ハーブを手に店舗の内階段を上り、階上へ向かった。聞けば、購入した客は2階の試し吸いの部屋を使えるという。流行のクラブ音楽が流れる仄暗い部屋で、ゆったりソファに座りながら吸える。店員は、あくまで「吸うために提供している」とは言わないが、ボングと呼ばれる吸引具を貸し出しなど、幇助を思わせる状況がある。
若者は、慣れた手つきで合法ハーブをライターで燻し数回、吸っては吐く行為を繰り返す。
何やらエキゾチックな香りのする煙が立ちこめてきた。見れば若者は虚空を睨み、恍惚の表情を浮かべている。事情通によれば、大麻を吸引した際に起こる症状に似ているという。
試しに、記者も1階で購入したハーブ「モンスター」の中身を確認するため開封しようとした。すると、なぜか店員が「モンスターはここでは開けないでください!」と釘を刺す。聞けば、「あまりの強さに、泡を吹いたり、店外に飛び出し嘔吐、終いにはのたうち回った者がいた」ため、この商品に限り吸引ルームで使用を禁止したそうだ。それほどに危険と思えるが、その後の調査では、吸引ルームを設けた店が新宿、新橋、渋谷、八王子、阿佐ヶ谷、大宮などでも確認できた。
厚生労働省の医薬食品局監視指導・麻薬対策課に質すと、「部屋や吸引具を貸し出す行為は薬事法違反の可能性が高い」との見解を示した。
1/24発売の週刊SPA!「大流行の合法ドラッグが根絶される!?」では、この潜入取材で判明したように蔓延する合法ハーブや合法ドラッグに対して、厳しい取締を始めるという情報を捜査関係者から入手。関係者らを徹底取材した。<取材・文/高木瑞穂 野中ツトム(清談社)>
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