雑学

島嶼奪還作戦でせっかく買った水陸両用装甲車が使えない!【自衛隊には突破できない法律の壁】



 さらにです。船舶であるならば、船の運転免許が必要なのです。総トン数25トンで考えると小型船舶の免許だけではだめで、航海と機関の海技免状が必要になります。これは実務乗船経験1年以上ないと口述試験が受けられないという資格です。その免許どうするのか?という難題がでてきます。どうにか容積比で20トン切ることが証明できれば小型船舶で事足りますが、それでも尖閣諸島沖は沿岸区域ではないので、法律上6級海技士免許保有者が乗船しないといけないのです。

 国会は現状では改正法案がようやく成立しましたが、AAV7についての制度改革はこれからです。それが終了するまでは制度は実行できず、海で訓練ができないということです。それまでは海で訓練すれば違法ですから、船舶法や海上衝突予防法などの違反で懲役刑も罰金もあります。陸上自衛隊で逮捕者続出になってしまうのです。

 法律を改正し適応除外になってから、訓練するとしたら、実際に島嶼奪還作戦にAAV7が活躍するにはどれくらいの年数が必要なのでしょうか?

 気が遠くなるほどのハードルをこえなければ、自衛隊は島嶼奪還作戦を実施できません。

 自衛隊が戦うのは、我が国を侵略する外国の軍隊ではなく、自衛隊を軍事組織にしなかった国の制度ではないでしょうか? こんな無数のハードルを越えないと訓練すらできないなんて、情けないです。海上自衛隊のおおすみ型輸送艦の改修は年内に終わるのでしょうが、そこにAAV7を載せれるのは何年後なのでしょうか?

「2017年年初、キャンプ・ペンデルトン及び海軍サンクレメンテ島訓練場において、500名の海兵隊員と350名の陸自隊員が島嶼部での作戦に必要な戦術・戦闘を演習しました。米国で訓練を積んでも、その成果は日本の海では発揮できないなんて」

 陸上自衛隊の元幹部J氏にこの話をしたところ、顔をしかめていました。法律の壁は自衛隊には突破できないほど強大なのです。<文/小笠原理恵>

国防ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰
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