南アフリカ・ヨハネスブルグ「日常自体が危ない」
「日常的に治安が悪いと感じたのは、やはり
ヨハネスブルグですね」
“
世界でもっとも治安が悪い都市”として名高い南アフリカのヨハネスブルグ。インターネットで「ヨハネスブルグ」と検索しただけで、犯罪や危険にかんする情報が山ほど出てくる。では、ゴンザレス氏が見たヨハネスブルグの日常とはどうだったのか。
ヨハネスブルグの街中
「隣にいた黒人同士がいきなりケンカをはじめて、
負けたヤツがゴミ箱に突っ込まれたときは驚きました。それはさておき、通称“シティ”と呼ばれる中心部が一般的に危ないと言われていますが、意外とショッピングモールの周辺がヤバいと思いましたね」
ヨハネスブルグでは、街を歩くのは危険で、基本的にはクルマやタクシーで移動しなければならないほどだと言われている。果たして、安全にも思えるショッピングモールがヤバい理由とは?
「旅行者だと、ショッピングモールぐらいなら歩いて行くじゃないですか。地元の人たちは、絶対にクルマで行きますが。周辺には空き地があり、変なヤツが多かった。たとえば、自称警察官を名乗る男が絡んできたこともある。クルマに詰め込まれて、カネをとられた。制服も着ておらず、怪しいと思ったので身分証明書(警察手帳)の提示を求めたが、まともに見せてくれない。インド系と思しき顔立ちで、おそらく詐欺師ですね」
やはりヨハネスブルグには、ほかの国にはない独特な雰囲気があるのだとか。さらにもう一カ所、ゴンザレス氏が危険だと感じた場所があるのだという。
駅の周辺。薄暗い……
「空港の国際線と国内線をつなぐ通路が、なぜか
真っ暗なんですよ。そこに人が沢山たまっていて。夜道などもそうですが、
暗いと死角が生まれやすいので注意したほうがいい」
ココで番外編として、ほんのちょこっとだけカオスな世界を体験してみたいという人に向けて、逆に“
オススメ”を聞いてみた。
甘川の隣村の全景
「韓国の釜山にある
甘川(カムチョン)文化村です。スラムをごく簡単に定義するならば、貧しい人たちが住んでいるエリア。いきなりフィリピンのスラムを訪れるのは少しハードルが高いと思われるかもしれませんが、韓国ならば行きやすい。甘川文化村は、“
韓国のマチュピチュ”と呼ばれ、スラムがカラフルに彩られたような場所。土産物屋などもある。その真横に、
日本統治時代の日本人の墓石で作られた村があって。韓国なので基本的には危なくないですし、
観光ついでにスラムっぽさも味わうことができるのでオススメです」
日本人の墓石が建材として使われている
だれが行っても接する可能性がある危険
「僕のモットーは、
パスポートで行ける危険地帯です」
今回は、危険地帯ジャーナリストのゴンザレス氏に「ヤバい」と感じた場所をあげてもらったが、意外と身近な国や場所が多いことに気付いたはずだ。
「じつは、戦場などをのぞき、“危険地帯”とはそういう場所があるわけではないんです。
人やシチュエーションがあってこそ。要するに、
だれが行っても接する可能性がある危険。だれでも行こうと思えば行ける、すぐそこにある場所。例えば、フィリピンの首都マニラにあるトンド地区(スラム街)だって、タクシーに乗って運転手に伝えれば行くことができる。そんな
身近な場所にも危険地帯があることを知ってもらいたい」
<取材・文/藤井敦年、写真提供/丸山ゴンザレス>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):
@FujiiAtsutoshi