乗務員の好判断で多くの人命が救われた竜ヶ水駅

◆泣ける駅編
なんにもなさそうな小さな駅。しかしそこには、聞くも涙、語るも涙なドラマが……

【CASE10】
乗務員の好判断で多くの人命が救われた竜ヶ水駅

 竜ヶ水は鹿児島市にある日豊本線の駅で、山と海に挟まれた険しい場所に存在。そうした地形から、土砂災害の多い場所だ。

’93年8月6日、鹿児島市周辺は1時間あたり最大99・5㎜ 、一日の雨量は259㎜ という記録的な豪雨に見舞われる。日豊本線も安全のため運転が見合わされ、竜ヶ水駅では2本の列車が天候回復を待っていた。だがそのとき、駅付近の線路で土砂崩れが発生。しかも駅の前後の箇所で起きたため、列車は竜ヶ水駅から動けなくなってしまう。

そしてさらに状況は悪化し、竜ヶ水駅付近でも土砂崩れの予兆が……。土砂が駅を直撃するのは、時間の問題だ。絶体絶命の危機に陥った、乗客乗員およそ300人。隣の駅に避難することも不可能である。

と、その一刻を争う事態、乗務員はとっさの機転を利かせた。通常このような場合、乗客を車内で待機させるのが基本だ。しかしこれに反し乗客を海のほうへ避難させたうえ、なんと車両を土砂が崩れてきそうな場所に、あえて移動させたのである。車両を盾にして、土砂が避難先の海側へ押し寄せるのを、少しでも食い止めようとした作戦である。

その直後だった。土砂崩れが竜ヶ水駅を襲い、駅はあっという間に土砂にのみ込まれ、車両も大破。残念ながら避難指示に従わなかった3人が犠牲になってしまったが、避難した乗客は全員無事だった。もし避難していなかったら、さらに大惨事になっていたはず。

とっさの好判断で人命が救われた竜ヶ水駅には、そのときの岩を使った記念碑が建立されている。

― 日本全国[珍駅/泣駅]途中下車のススメ【11】 ―




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