勝ち組になれなかった40代は“引き分け”を目指せ――今の会社に定年までしがみつく、“細く長く”生き残る方法
続いて、「会社での人間関係はうまくいっていますか?」に対しては、「悪い」「どちらかといえば悪い」が合わせて37%。ここでもやはり、ぎくしゃくする理由は出世競争の勝敗が決してしまったことが大きい。「役職に就いてますか?」では、せめて「課長」(19%)という理想も空しく、現実では「平社員」が40%を占める結果に。
だが、“出世=幸せ”という考え方も見直したほうがいい。
「管理職になったが給料は上がらず、慣れないマネジメント業務が増えたせいで、自分の強みだった営業成績も下がってしまった」(43歳・不動産)
と、プレイングマネジャーの壁にぶつかるケースも。
「出世できないということは、競争から降りて楽になれるということでもある。クビにならず定年までしがみつければ“引き分け”と思って働いていればいいんです」
そう語るのは、男性学の専門家である田中俊之氏だ。
藤川氏も、「これからは長寿化で、誰もが今までより長く働かなければならない時代。“太く短く”ではなく、そこそこの力で“細く長く”継続的に働ける人のほうが強い」と分析する。
とはいえ、やりがいや目標もなく働き続けるのはしんどい。「仕事における目標はありますか?」には、63%が「ない」と回答。思い切って転職しようにも、「転職したいと思いますか?」には、「転職したいが年齢的にあきらめている」(47%)のが本音だ。
これについては、人材教育が専門の経営学者・野田稔氏が、やや耳の痛い指摘をしてくれた。
「40代男性は“仮想的有能感(俺はすごいという根拠のない感覚)”を抱きがちで、理想に現実の能力が追いついていない。『自分は思ったほど大したことない』という現実を受け入れて目標を高望みしないこと。家族を幸せにしたい、達成感を味わいたいなど、自分の本当の望みに合った仕事を見つけることが、結果的に幸せへの近道になりますよ」
【これで引き分け!】
1 勝ち組になろうとしない
2 年収600万円を目指す
3 今の会社に定年まで居座る
4 “細く長く”を意識する
5 「大したことない自分」を知る
【藤川 太氏】
ファイナンシャルプランナー。家計の見直し相談センター、生活デザイン代表。最近は、不動産仲介業も手がける。著書に『お金の不安に答える本』(日本経済新聞出版社)など
【諸富祥彦氏】
臨床心理士。明治大学文学部教授。専攻は心理療法、臨床心理学など。近著に『「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟』(集英社新書)
【田中俊之氏】
男性学・キャリア教育論を専門とする社会学者。大正大学心理社会学部准教授。著書に『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(イースト新書)などがある
【野田 稔氏】
経営学者。明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授。野村総研などを経て人事組織・人材育成の専門家に。著書に『中堅崩壊』(ダイヤモンド社)など
― 40男は[引き分け組]が幸せだった ―
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