更新日:2018年10月02日 21:03
エンタメ

主演俳優・堤真一と原作者・鈴木おさむが激論「登場人物でまともなやつは一人もいない」

出世して人格が変わっても本人に自覚がない“理由”

鈴木:主人公の神田は40歳ぐらいの設定で書いてるんですが、その年代のテレビマンってそれこそ取捨選択というか、出世する人と出世しない人がはっきり分かれてくるんですよ。新卒で入ってすごい目を輝かせて、「バラエティで当てたい!」と言ってた人が、「あれ? おまえいつからそんなヤツになったの?」っていうくらい変わってしまったり。上に媚び続ける人もいれば、熱意を持ってつくり続ける人もいる。別にテレビ業界の裏側を暴露しようとは思ってなかったですが、自分にとって一番強烈なリアリティを持って書いていたら、ああなったんです。 ――作品では平凡な男だった神田が番組を成功させ、出世するに従ってどんどん変わっていく姿が描かれていますが、彼の変化については? 堤:でも、当人は変わった気は絶対にないんですよ。 鈴木:そう! そこですよね。 堤:だから会議で「もうちょっと面白いもんお願いよ~」みたいな嫌なことを平気で言うんだけど、彼のなかでは「正しいこと」を言ってるにすぎないという。自分なりの正義があるから、ややこしい。 鈴木:絶対そうですよね。 堤:番組がヒットして人がたくさん寄ってくるのも、最初は「俺もここまで来たか」って嬉しいんだけど、だんだん鬱陶しくなってくる。いろんなヤツがやって来て、しまいにはお弁当屋まで売り込みに来るわけですよ。こっちはもう忙しいから、どうしても「知らねーよ!」ってなりますよね。 鈴木:彼は彼で、自分が相手に対して酷いことをしているっていう感覚はないと思うんですよね。「逆に教育してやってるんだ」って、自分のなかでどんどんすり替わっていく。 ※このインタビューは11/21発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【鈴木おさむ】 放送作家。’72年、千葉県生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳でデビュー。バラエティを中心に数々の人気番組を構成。’02年には、森三中の大島美幸さんと結婚。結婚生活を綴った『ブスの瞳に恋してる』など著書多数。 【堤 真一】 ’64年、兵庫県生まれ。俳優として、CM・ドラマ・映画・舞台と全方位に活躍。’05年に『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を獲得するなど、受賞歴多数。新年1月10日より東京・新国立劇場中劇場にて舞台『近松心中物語』に主演する。 取材・文/中村裕一 撮影/ヤナガワゴーッ!
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
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週刊SPA!11/28号(11/21発売)

表紙の人/ 泉里香

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