「ドクターX」は現実には存在しない…医療専門弁護士が説く“患者自ら身を守る”心得
そうした現実を踏まえ、石黒弁護士が医療事故に遭わないための「患者の心構え」に挙げるのが、次の4つだ。
①医師任せにしない
「どんなことにも詳しく、どんな手術もできるスーパードクターは医療ドラマのなかにしかいません。専門分野であっても先入観から医療ミスをする医師もいれば、知識や経験の乏しい研修医に丸投げする医師もいます。医師にすべてを任せきりにするという態度は危険です」
②病気を知る
「医師任せにしないためにも、まずは自分や家族の病気を知ることが大切です。緊急の措置が必要な病気であるにもかかわらず、外見上は重症感が見られなかったり、経験の乏しい医師にあたったりすると、見落とされる可能性もあります。そんなとき、患者に最低限の病気の知識があれば、典型的な症状のキーワードを使って医師にうまく伝えられることができ、医師の見落としを防げる可能性が高まります」
③我慢しない
「自分の直感を無視して我慢したばかりに命を落としてしまう医療事故が後を絶ちません。医師に病気を見落とされないためには、とにかく我慢しないことが大切です。症状を正しく伝えようとする努力はもちろん、多少大げさに症状を伝えるくらいが丁度いいかもしれません」
④コミュニケーション力を磨く
「病院は少ない人数で多数の患者を診ているので、意図しなくても結果的に放置されることは避けられません。日頃から医師や看護師と良好なコミュニケーションをとっていれば、おのずと関心を持たれ、異常に気がついてもらえる可能性も高まるでしょう」
スーパードクター・大門未知子はあくまでテレビドラマ上の人物であり、現実は患者側も積極的に医療に関わっていく姿勢が必要ということだろう。<取材・文/日刊SPA!取材班>
【石黒麻利子(いしぐろ・まりこ)】
弁護士・医学博士。東京都出身。1992年、藤田保健衛生大学大学院医学研究科博士課程修了。理化学研究所などで主に脳神経科学の研究に携わった後、法曹へ転身。2006年中央大学法科大学院修了、同年司法試験合格。近著に『医療事故に「遭わない」「負けない」「諦めない」』
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『医療事故に「遭わない」「負けない」「諦めない」』 医療事件を扱う専門弁護士が、医療事故に遭わないための「患者力」、そして、医療紛争の解決法を徹底解説 |
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