更新日:2022年11月25日 23:09
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高級駅弁で帰省の道中を優雅に過ごす 香箱ガニから焼肉+ウニまで

食べログナンバーワンの店が駅弁を作ったワケ

 SATOブリアンオーナーの佐藤明弘氏は「いつか弁当を作ってみたかった」という。 「幸いなことに大勢の方に支えられて、SATOブリアンは人気のお店になりました。しかし、大変心苦しいのですが、人気と共に予約がなかなか取れない状況になってしまいました。食べてみたい、行ってみたいという地方の方の声もあって、それじゃあ以前から作ってみたかった弁当を出してみようと思ったんです。今年の春先から話が始まり、とんとん拍子で進み、ご縁があって青森の老舗、吉田屋さんに製造を依頼することができました」  とんとん拍子に……と佐藤氏は言うが、SATOブリアン監修である以上、その看板に見合ったものを作らなければならない。その重圧はかなりのものがあったという。 「まず、駅弁の和牛系の弁当を食べまくりましたね(笑)。それでいろいろと見えてきたことがあったんですよ。まず、和牛と名の付く弁当の多くはお肉が薄い。そして、実はニンニクが乗っている弁当もないんです。そして、最近はほかの焼き肉屋さんでも肉にウニを乗せるお店は増えましたが、弁当ではさすがになかった。そういったことを踏まえて、まず、私は焼き肉屋なので米を食ってるよりも肉を食ってる感じがする弁当にしようと。そしてニンニク。実はニンニクの香りというのは食べた後に満足感がすごく出る。だからニンニクも乗せようと。さらにウニ。これはもう誰もやっていなかったから乗せてやろうと」  こうしてコンセプトがまとまったが、試作の段階から試行錯誤が始まることになる。 「駅弁記者の方もお話ししていたように、まず肉の脂が浮いてしまう問題ですね。バターを使うとどうしても冷めると脂が浮いてしまう。でも、ニンニクバター醤油の風味って、ウチの看板であるブリめしにも使われてる代名詞みたいなものだから、なんとかこのニンニクバター醤油の風味を出して、SATOブリアン感を出せないかと。試行錯誤した結果、粉末バターを使うことで風味を残して脂を浮かせないことができたんです」  なんとか形になったものの、佐藤氏は葛藤を抱えることとなる。 「当たり前ですが、いくらウチが監修したと言ってもお店で出すものとは異なります。正直、葛藤はありました。でも、なんとかSATOブリアンに触れてほしいという思いを落とし込めないかと打ち込んでいくうちに、SATOブリアンの心意気は感じてもらえる弁当になったと思います」  お肉は九州の黒毛和牛のトモバラ、そしてシャトーブリアンの横の部位であるヒレミミをSATOブリアンの店内で処理したものを真空パックで工場に送っているという。そして、肉だけではなくウニに対しても佐藤氏はこだわった。 「吉田屋さんには『ウニはせこくしないでください』と。吉田屋さんは海鮮系の弁当が得意なので、ウニが非常に旨いんです。そのウニをケチらずに乗せて、とにかくウニの“乗った感”を大事にしました。このウニの乗った感を出すためにパックにもこだわることになってしまいました。パックを浮かせないとウニが潰れてしまうんですよ」  こうしてSATOブリアン監修のウニのせ焼き肉弁当は出来上がった。1880円という高級駅弁は焼き肉界の雄の思い、心意気が詰まった一品に仕上がっている。年末年始の帰省の際に、ちょっとした贅沢で電車内の時間を優雅にすごしてみてはいかがだろうか。現在は東京駅のほかに新宿駅でも絶賛販売中だ。年末年始の電車内で、高級駅弁でちょっとした贅沢な時間を過ごしてみてはいかがだろうか。 取材・文/長谷川大祐(SPA!本誌) スペシャルサンクス/駅弁記者(SPA!本誌)
日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
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