更新日:2022年11月29日 12:05
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“痩せられない職場”で10kg増の20代男性の苦悩――職場の環境が健康を左右する

「職場の雰囲気のせいで痩せられない」とはどういうことか?

 血糖値のコントロールをポイントに、コンディションを整えて仕事のパフォーマンスを上げる食事術を紹介する『医者が教える食事術 最強の教科書:20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』(牧田善二・著、ダイヤモンド社・刊)が昨年9月に刊行され、今なお売れ続けているベストセラーとなっている。  しかし、こうした流行の健康本を読んで、いくら健康へのリテラシーを高めても、結局“健康格差”の現実を改めて実感してしまうだけ、ということも少なくない。  平成22年、厚生労働省が世帯ごとの年間所得でグループ分けし、生活習慣などを調査した「国民健康・栄養調査」をはじめ、所得・雇用形態と健康状態の悪化にはなんらかの相関があるとする調査や研究は国内外にある。  だが、メーカーで正社員として勤める浅井亮太氏(仮名・28歳・男性)が日頃感じている健康格差は、所得などによる格差ではなく、どちらかといえば職場の雰囲気・体質によるものだという。

オトコ社会特有の「みんなでランチ」がもたらすもの

「勤務先はあくまでもお堅いメーカー企業の本社事務所。報酬や休日などの福利厚生といった待遇にはそれなりに満足しています。ただかなり体育会系で、上に気に入られれば天国ですけどそうじゃなければ地獄みたいな会社。同僚や後輩の中にはパワハラで精神病んで辞めた奴も少なくない。今のところ僕は上司に気に入られていますが、実はメンタルよりも先に身体を壊しそうなんです」(浅井氏)

「糖質制限ダイエットをしようにも、個人の意思ではどうしようもない」(浅井氏)

 実は浅井氏の職場、ランチの時間は同僚と外に出るのが暗黙のルールになっている。そんな職場内の雰囲気が彼をメタボ体型に近づけていたのだ。 「オトコだらけの職場では上司に迷惑をかけないためにも同じメニューを頼む雰囲気があります。みんなでラーメン屋に行って『俺はチャーシュー麺。おまえは何?』と聞かれたら、料理が出てくるスピードと食べるスピードを考えても同じラーメンを頼まざるをえないのです。結果、今の職場に入ってみるみるうちに10kg太りました」  彼と同じ部署に所属する従業員は10人ほど。40歳前後の妻子持ちが多いにも関わらず、同僚男性は内勤の中年の食事とは思えないような高カロリーを摂取する。 「ほぼ週2で連れて行かれるのが中華のランチ。みんなチャーハンとかラーメンが大好きで、僕も昼からたらふく食わされます。当然糖質制限ダイエットをしているなんて言える雰囲気じゃない。飲み会も多く、『昨夜カネ使いすぎたから今日はサイゼな』みたいな日もあるんですが、なぜかファミレスでは一人2品以上注文する暗黙のルール。しかも頼むのはピザとかパスタとか基本的に全部重たい(笑)。そもそも糖質も摂りすぎでしょう。おごってくれることも多いので、入社して半年くらいは有難かったですけどね……」

「中華もローテーションに組み込まれています。この日は12人で2万3千円」(浅井氏)

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「30歳手前で尿酸値が引っかかった」
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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