産業精神科医「草食系男子は嫉妬しない」

嫉妬。人を妬むというこの厄介な感情の正体とは?

精神医学から嫉妬心を分析。
嫉妬深さを決めるのは”自己愛”


“女”偏の漢字が2つ並ぶ、「嫉妬」。しかし、産業精神科医として、職場で蔓延する心の病の問題に取り組む松崎一葉氏は、「嫉妬に男女差はない」のだという。

「嫉妬を説明するときに、よく用いられるのが”三角の構造”です。簡単に言うと、『浮気をされたときに恋人と恋敵のどちらを殺すか』という、あの質問のことです。自己愛の強い人は、男女に関わらず自分を裏切った憎しみから、恋人を殺すと言う。嫉妬というのは自己愛を傷つけられたことに対する報復。この三角形の構造は、職場に置き換えても変わりません」

 職場では自分とライバル、そして評価者の三角関係。自己愛を保つには、評価を上げるか、ライバルを陥れるかの選択。評価はそう簡単には上げられないのだから、選ぶのは、ライバルを陥れること。 そんな”陰性感情”が嫉妬なのだ。

 しかし、松崎氏は「強い自己愛に加えてエネルギーがないと嫉妬は生まれない」とも言う。確かに、前頁の事例を見ても、嫉妬で暴れる人々にはある種のガッツがある。

「『別に出世なんてしたくない』という最近の草食男子には、人を妬むこともできないんですよね。逆にドラマの『白い巨塔』でいがみ合う教授たちのように、上昇志向の強い人には、嫉妬の感情が自然と生まれてくるんです」

 そんな自己愛から生まれる嫉妬は、逆に上手に使いこなせるば、仕事の活力にもなるという。

「嫉妬の感情自体は、決して悪いものではないんですよ。本来的には、ライバルに負けたくない、自己愛を守りたいから、人はツラい仕事にも耐えられるんですから」

 しかし「嫉妬の感情に苛まれて仕事に向かうどころではない」という人はどうしたらいいのか。

「決して自分を非難せず、その妬みの感情をすぐに開放してあげること。会社帰りに飲み屋でグチを言い合うのも意味がある」

 逆に自分が上司や同僚の嫉妬の対象になったときは?

「そういう会社で出世したいなら、とにかく相手の自己愛を傷つけないこと。きちんと上を立てながら、じとーっとおとなしく生きていくしかないですよ。でも、上ばかり見ている”ヒラメ社員”が出世するような会社は、そもそもヤバいでしょうけどね(笑)」

~嫉妬とは~
自己愛を傷つけられたことへの報復であり、エネルギーがなければ生まれない

【松崎一葉氏】
医学博士・精神科医。現在、筑波大学大学院社会医学系教授。産業精神科医として、東京都庁や一般企業のメンタルヘルス不全の治療、指導にも取り組む。宇宙飛行士の健康管理と選抜を行う、宇宙航空研究開発機構の主任研究員も併任している。著書に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)など。

― [モンスター嫉妬男]職場で大暴れ白書【5】 ―




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