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AIが都市を救う? 街中を歩くテロリストを検知するシステムが登場

 最近、にわかに注目を集めているのが「パブリックセーフティ」という言葉だ。AIやロボットなど最新テクノロジーで街の安全を守ろうという試みで、すでに海外では導入が進む。日本でも’20年の東京五輪を前に実証実験が始まっているが……

AIに[都市の安全]は守れるのか?

普及の鍵となるのが次世代高速移動通信


 AIは行動予測・解析のほかにも、画像認識や行動検知、生体認識(顔認証や指紋認証)などという領域で大きな力を発揮する。例えば、防犯カメラのデータをAIに学習させることで、不審者検知、犯罪者の追跡はもちろん、不審物検知や、暴動・テロの予兆まで見抜けるようになってきている。

「日本の出入国管理システムの裏側でも、世界中から蓄積されたビッグデータと照会してテロリストを識別する作業が自動化されています。テロリストが素顔で入国することはなく、メガネをかけたり、髭をはやしたり、顔の一部を整形することも考えられますが、AI顔認証はすべてを見破れます」(日本の治安当局関係者)

 一方、中国では、「天網」という犯罪者追跡監視システムがすでに稼働している。天網は動く対象を追跡・判別するAI防犯カメラと、犯罪容疑者のデータベースが連動したシステムだ。全土にある約2000万台の「AI防犯カメラ」で、「信号を無視した車」、「いきなり走りだす通行人」など怪しい対象や動きを捕捉した後、その姿を拡大して照合・特定を始める。もし対象が指名手配者リストに載った人物だと判明すれば、即座に警報が鳴り、治安当局者に通知されるという仕組みだ。

 一方、パブリックセーフティ分野の技術は、防犯や治安維持だけではなく、防災対策、生活の利便性向上にも応用できる。ソーシャルビッグデータ研究センター長の石川博氏は言う。

「いわゆるビッグデータと呼ばれるものの中には、SNSの『ソーシャルデータ』、観測で得られる『実世界データ』などがあり、混雑・渋滞の緩和、災害時の避難経路の設定などに有効活用できるシステムの開発も進んでいます。ソーシャルデータは英語や中国語など使用言語を細分化できる点も特徴。例えば、地震が起きたとき、ある場所に中国人観光客が多ければ中国語で避難情報を流すことも可能です。利便性向上、ひいてはインバウンドにも有効活用できます」

 すでに海外では、携帯の基地局にセンサーや防犯カメラなどを設置し、効率よくデータ収集するシステムが稼働している。その肝となるのが次世代移動通信システム「5G」規格だ。

「大容量で超高速、低遅延で他接続も可能な5Gの普及は、パブリックセーフティを加速させるはず。回線が途切れないデータ通信環境の発展はとても重要な要素だからです」と、『ロボティア』編集長でAIに詳しい河鐘基(ハジョンギ)氏。

 プライバシーや個人情報への懸念も残るが、東京五輪を前に日本でも導入が進むことは確実だ。

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