地方と東京で広がる“就活格差”――非首都圏在住大学生の就活はこんなにも大変だった
2019年3月に卒業予定の大学生の新卒採用が解禁して一か月が経とうとしている。街で見かけるリクルートスーツを身にまとった大学生の中にはリクルートカバンとともにスーツケースを引きずる姿も珍しくない。
企業研究や面接対策など、就活生は休む間もなく内定獲得のために向き合っているが、地方の学生はより一層苦労がかかる。その厳しい環境での戦略とはどのようなものなのだろうか。現役学生やOB/OGたちに話を聞いた。
3年前まで大阪で大学生活を送っていた本間理沙さん(仮名・25歳・大手通信会社)は就活を始める前の大学2年生時から、東京との差に愕然としていたという。
「当時、関西の大学生のあいだで企業から広告を集めてフリーペーパーを作るという活動が流行りました。でも、東京では3年以上前からとっくにこんな活動が行われていたようなんです。実感として、東京と関西では大学生の文化に3年ほどタイムラグがあるというかんじでした」
学生の課外活動にも東京と地方で差があることを知った本間さんは、就活に危機感を感じ東京に定期的に足を運ぶことを決心。しかし、何度も東京に行くと交通費でお金があっという間に底をついてしまう。
そこで編み出した戦略が以下のものだ。
「東京で行われる大手企業や政府機関が主催する若者向けのシンポジウムやイベントを調べると、一部で交通費が支給されることがわかりました。さらに、そういった企画は審査員で企業の役員クラスや大物政治家も出席しており、懇親会に参加すれば役員クラスの人とも知り合えるので、就活に使えると思いました」
その戦略は功を奏し、彼女は見事大手人材会社から内定をもらうことができた。
静岡の大学出身の山崎達也さん(仮名・25歳・大手メーカー)は、上述した本間さんと同じように大手企業や政府機関のイベントで人脈を広げる作戦をとっていたが、あえて東京を避けるというテクニックを見出していた。
「東京ではなく大阪や名古屋で開かれるイベントに行っていました。東京だとイベントが開かれるととにかく人が多くて、少しでも社員の人との距離を縮めたくても、そんな余裕がないことは現場を見ればわかります。でも、地方なら違います。関西や中部ではどこも客足が足りなくて困っているくらいなので、若者を歓迎してくれますし、顔や名前も覚えてもらえるチャンスがあります。就活するなら東京と思っていましたが、他の都市で人脈を広げたほうがコスパがよかったです」
情報を求め、地方の就活生が東京に集中する現状を逆手に取った手法で、社員との仲を深めた彼は無事第一志望の大手メーカーに内定することができた。
大学2年時から痛感する東京と差がついていることへの危機感
あえて東京を避ける戦略も
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