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生活保護の母親がなぜ覚せい剤の虜に? 薬物裁判を556日間“速記”し続けた男による執念の記録

「僕が薬物事件の裁判を傍聴し始めたきっかけは、警察が薬物所持容疑で家宅捜索をしに来たからです。しかも、まったく無実の罪です。そのことがあって2016年4月から2017年の10月まで、僕は憑りつかれたかのように薬物絡みの裁判を合計して556日傍聴しました。国家であり司法が薬物事件の被疑者についてどう認識しているか、どんどん興味が沸いてきたのです」

 そう話すのは、都内在住の会社員・斉藤総一氏。まったく身に覚えのない容疑で警察が捜査令状を持ってやってきたというのだから、驚いたのも無理ない。

ふつうの会社員が薬物裁判を50件も傍聴した理由


「刑事さんがある程度事情を教えくれました。その頃電話でやりとりした仕事の取引先の人が、僕の知らないところで覚醒剤の営利目的の所持容疑で逮捕されていたんです。本当にその時まですっかり忘れていたのですが、僕は18歳の頃に一度大麻の所持で逮捕されたことがあります。それは自分が撒いたタネですが、もう20年以上も昔の話でしたし、そもそも覚醒剤には触れたことがない。それからは人並みにマジメに生きてきたつもりだったので、本当に驚きました」

 逮捕された被疑者の携帯電話の履歴から逮捕歴のある人間に捜査対象を絞り、その結果槍玉に挙げられたのが斉藤総一氏だった。妻子の前で過去の過ちを刑事に暴露されるという屈辱も受けたという。

斉藤総一さん

斉藤総一さん

 しかし、彼はそれで落ち込むどころか、行動のためのエネルギーに変え、それ以降は裁判傍聴の「鬼」と化したのだ。しかも、ただ傍聴するだけでなく全556日の間に傍聴した全50件の裁判……裁判官、被告、検察、弁護士、証人等の発言全文を速記し、書き起こしたというのだから驚きだ。書き残した50件の内訳は大麻関連のものが40件、覚醒剤関連のものが10件。ひとつの裁判で短いもので8000文字(原稿用紙400字詰め20枚)、長い物で11万字強(原稿用紙290枚分)を速記したというから尋常ではない集中力である

「裁判には決まった運びがあるから、慣れていけば下準備ができるようになる」と言うが、たとえ元になる音声データがあっても文字に起こすのは大変な量である。円満な日常への不意のガサ入れは、斉藤総一氏の心に執念の火をつけたようだ。

 彼が書いた裁判録は文字通り50の「法廷劇」であり、そこにはあまりにも生々しい薬物裁判でのやり取りが残されている。同じ読み味のものは一つとしてなく、裁判官、検察、弁護士、被告、証人という、裁判に関わる全ての人の個性で裁判は作られると言ってもいいかもしれない。

 ここでは彼は傍聴した50本の中から、中学生の娘が母親の覚醒剤使用を警察に訴え出て発覚した事案を紹介しよう。とはいえ、裁判での一言一句を逃さず記録しているだけに、その文章は膨大な量になっている。

 実に約1万字。

 しかし、読み進めていけば、なぜ母親が薬物に溺れるようになったのか、その姿を間近で見ていた中学生の娘がどんな日々を送っていたのかが、まるで目の前で起きている出来事のように感じてくる。薬物使用の状況や悔恨は十人十色。裁判は「事実は小説より奇なり」の連続であることがよく理解できるはずだ。

「買い物からを帰って来たママは、目つきがおかしくなっていました」(娘)


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2016年5月某日
稲吉静香 平成28年(わ)第xxxx号 覚せい剤取締法違反 新件 7F 702号法廷
裁判官/渡辺庸一 書記官/平倉勇也 検察官/秋山ちづる 弁護人/向原則夫
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*プライバシー保護の観点から固有名詞や住所などはすべて変更しております。



裁判官「よろしいでしょうか? それでは開廷いたします。被告人は証言台の前に立ってください。はじめに名前などの確認をします。お名前はなんと言いますか?」

被告人「稲吉静香と申します」

裁判官「生年月日はいつですか?」

被告人「昭和48年5月27日です」

裁判官「本籍はどこですか?」

被告人「東京都荒川区南千住9-Xです」

裁判官「住所はどこですか?」

被告人「東京都荒川区南千住9-14-X 20X号室」

裁判官「仕事はなにをしていますか?」

被告人「無職です」

裁判官「それではあなたに対する覚せい剤取締法違反事件について審議を始めます。起訴状は受け取っていると思いますけど受け取ってますね?」

被告人「はい」

裁判官「これから検察官が起訴状を読み上げます。よく聞いていてください」

検察官「公訴事実。被告人は第1、法廷の除外事由がないのに平成28年4月8日。東京都荒川区南千住9-14-X 20X号室被告人方において、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロ パン塩類若干量を水に溶かして飲み、もって覚せい剤を使用し、第2に、みだりに同月9日、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩類を含有する、白色結晶状粉末0.063gを所持したも のである。罪名および罰条、覚せい剤取締法違反、第1につきまして同法第41条の3第1項1号19条。第2につきまして、同法第41条の2第1項。以上です」

裁判官「それでは今朗読された事実について審理を進めていくわけですが、あなたには黙秘権という権利があります。ですので言いたくないことを無理に話したりする必要はありません。答えたくない質問にだけ答えないこともできますし、始めから終わりまで話しをしたくなければ黙っていてもかまいません。話しをしないという、そのことだけで不利益に扱われることはありません。以上、質問には、この法廷で話したことは、あなたにとって有利であっても不利であっても証拠となるので、十分に注意してください。いま説明したことの意味はわかりましたか?」

被告人「はい」

裁判官「では最初に質問しますけど、さきほど検察官が読み上げた事実について、何か間違っているところなどはありますか?」

被告人「ありません」

裁判官「弁護人ご意見をお願いします」

弁護人「被告人と同意見です」

裁判官「じゃあ、いったんもとの席に座ってください。では検察官、冒頭陳述をお願いします」

3児の母は、17歳から覚せい剤をやっていた


検察官「検察官が証拠により立証しようとする事実は以下のとおりであります。まず第一に被告人の身上経歴等ですが、被告人は中学校卒業後、実家が経営する居酒屋の手伝いなどで稼働していましたが、本件犯行当時は、無職で生活保護を受給していました。離婚歴が2回あり、3児をもうけましたが、本件犯行当時は、住居時において実子2名と生活しておりました。被告人には、これから述べる同一罪名前科が1犯のほか、窃盗等の前歴2回があります。被告人は平成25年10月6日に東京地方裁判所におきまして覚せい剤取締法違反で懲役1年6か月、3年間の執行猶予の判決を受けています。

第2に犯行にいたる経緯および犯行状況等ですが、被告人は17歳の頃から覚せい剤を使用し、24歳の頃に、当時の夫から勧められたことをきっかけに、覚せい剤を再び使用するにいたりました。平成25年ころから密売人から覚せい剤を購入し、使用するようになりました。被告人は平成28年4月7日頃、密売人から覚せい剤を購入しました。犯行状況につきましては、いずれも公訴事実に記載のとおりです。第3にその他情状等です。以上の事実を立証するため、証拠など、関係カード記載の証拠の取り調べの請求をいたします」

裁判官「それでは請求証拠に対するご意見をお願いします」

弁護人「すべて同意いたします」

裁判官「それでは採用して取り調べますので、検察官、内容を告げてください」

検察官「はい。甲1号証から3号証までは被告人の尿に関する捜索差押調書、鑑定嘱託書、鑑定書となっております。内容としましては平成28年4月10日に令状を提示されたのちに、自ら尿を提出すると言って、排泄したことから、それを警察官が差し押さえたという結果、また尿を鑑定したところ、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩類が検出されたことが明らかとなっております。甲4号証から7号証まではブツである覚せい剤の捜索差押調書、写真撮影報告書、鑑定嘱託書、鑑定書となっております。覚せい剤の発見日時が平成28年4月9日であり、差押発見場所が、東京都荒川区南千住9-14-X 20X号室の被告人方であることが明らかになっております。

また、発見された覚せい剤につきましては、その重量が0.063gであり、試料からは覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパンが検出されたことが明らかにされております。続いて甲8号証は被告人の娘の供述調書です。内容について一部簡単に朗読します。

  ママは前回も覚せい剤事件で逮捕されましたが、初犯ということで刑務所に行きませんでした。
そして再び一緒に生活するようになったのですが、警察署から出てきて約1ヶ月が過ぎたころに、警察の留置場で知り合った女性の人を家に連れてきて、交互にトイレにこもったりして、様子がおかしかったのです。またどこかに電話をかけているのかわかりませんが、何グラムいくら? などと話していたのが聞こえました。私も小さい子供ではないので、その会話が覚せい剤の取引だというのがわかり、実際ママが、覚せい剤を持ってたり、使っているのを見てはいませんが、このことをママが逮捕された時に、お世話になった児童相談所に行って話をしました。
 
  ママがコンビニに行くと行って出かけたのが、今週の木曜日の4月7日午前1時頃ごろです。私は明らかに時間が遅いので、おかしいなと思いましたが、ママはビールとタバコとアイスを買ってくると言って出かけていきました。そして1時間ほどして帰ってきたところ、目つきがおかしく、出かける前と様子が違っていました。

ママは精神科に通っていることから、多少の気分の浮き沈みはありますが、このときは目が泳いでいて、手が震えており、額には汗をかいていて、声がかすれている状態になっていました。以上が簡単な内容となっております。甲9号証は覚せい剤の証拠になります。示したいと思います」

夫の金銭トラブル、DV、薬の問題で離婚した


裁判官「それでは被告人、いったん前に出てきてください」

検察官「この覚せい剤はあなたのものであることは間違いないですね?」

被告人「はい」

検察官「もういらないですね?」

被告人「はい」

裁判官「では戻ってください」

検察官「続いて乙号証でありまして、乙1号証被告人身上経歴に関する供述調書でありまして、冒頭陳述に記載の通りの身上経歴等が明らかとなっております。被告人の学歴や職歴などが記載されています。乙5号証は被告人の戸籍謄本です。本籍等が明らかにされています。乙6号証は被告人の犯歴に関する照会結果報告書です。平成元年、それから平成2年に、それぞれ窃盗、それから毒物劇物法の前歴があることが明らかになっております。乙7号証は被告人の前科調書です。冒頭陳述で述べたとおり、平成25年10月6日に東京地方裁判所において、覚せい剤取締法違反で、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年に処されたことが明らかになっております。乙8号証については前科に関する判決謄本になります。前科の内容については、覚せい剤の自己使用で発見ということになっています。以上です」

裁判官「それでは弁護側の立証について、お尋ねします」

弁護人「弁護側としましては、証人として被告人の兄を次回お願いしたいと思っています」

裁判官「時間としては何分くらいですか?」

弁護人「20分くらいいただけたらと思っております」

検察官「書証については全て同意します。証人についても異議ありません」

裁判官「それでは全て採用するということになります。書証の内容について、簡単に説明してください」

弁護人「まずは覚せい剤からの離脱に関する報告書となっております。被告人の稲吉さんが覚せい剤を断つために一貫しておこなった活動の経緯と内容について報告をしているものです。まず第1に自助グループの利用の希望を有しています。千葉ダルクのパンフレットを私差し入れました。そのうえでダルクの館山の女性職員に手紙を送付した経緯、千葉刑務所へ、千葉ダルクの職員と面会をおこなった経緯についても、資料に説明されております。またダルクではですね、面会を行った際の申入書を添付をしました。そのうえでダルクの職員と稲吉さんの面会の内容、そしてその後、稲吉さん自身がダルクを利用するにいたった経緯が記載されております。また留置中に覚せい剤の害悪についても学びました。稲吉さんは覚せい剤の自助グループを利用するとともに、私が差し入れた覚せい剤の防止のためのワークブックをこなしておりました。新たに気づいた点などをメモに記載し、何度も読み返したものが添付されております。それ以外にも、千葉刑務所内で留置されている時に書いた反省文です。提出します」

弁護人「それでは弁護人からお話を伺います。まずあなたの家族構成を教えてください。」

被告人「私が世帯主で、長女1人、次男1人の3人で生活しています。長女は高校2年生、次男は中学3年生です。長男はすでに1人で、荒川区の南千住というところにアパートを借りて住んでいます」

弁護人「あなたの主人はどうしていますか?」

被告人「主人はもう10年以上前に離婚をして、いません」

弁護人「離婚したのはどうしてですか?」

被告人「離婚したのは、お金のトラブルと、私に対する暴力。そして薬。で暴力団に入ったことで離婚しました」

弁護人「あなた自身仕事はしていましたか?」

被告人「私は身体を壊していて、無職で生活保護で生計を立てていました」

弁護人「身体を壊しているとは、具体的にどういった症状ですか?」

被告人「狭心症。精神科で、睡眠障害、うつ病、摂食障害、パニック障害、あと腎臓が悪くて、それだけです」

17歳で親友に誘われて、ヤクザ風の男に薬を打たれた


弁護人「あなたの覚せい剤との関わりについて聞いていきますね。最初に使ったのはいつ頃ですか?」

被告人「最初に使ったのは10代。17歳のとき」

弁護人「きっかけは?」

被告人「私の友達の親友であったノブコという人と遊んだときです」

弁護人「ノブコさんからどのように誘われたんですか?」

被告人「一緒に遊ぼうって言われて、行ったところがラブホテルで、そこでヤクザ風の男の人から覚せい剤を打たれました」

弁護人「何回使いました?」

被告人「その1回だけです」

弁護人「その後は何回使いました?」

被告人「その後は1~2回くらい使いました」

弁護人「その後使わなくなったのはどうしてですか?」

被告人「その友達とも裏切られたことを機に別れて、その相手のヤクザの男性も捕まってしまって、私は普段”ネタ”って呼んでいるんですけど薬のこと。ネタが入らなくなったので、やめました」

弁護人「覚せい剤が仕入れられなくなったから使わなくなった?」

被告人「そうですね」

23歳か24際で、元旦那と一緒にまた使うように


弁護人「その後に使うようになったのは、いつ頃のことですか?」

被告人「2回目の結婚した元旦那と付合うようになってからです」

弁護人「2回目というのはどういうことですか?」

被告人「2回目というのは元旦那と付き合っている時に、元旦那が薬を持っていて、使用を一緒にしました」

弁護人「…それは何歳くらいの時でした?」

被告人「再婚する少し前だったので、23か24歳くらいだったと思います」

弁護人「どういうきっかけで使用しました?」

被告人「元旦那がネタを持っていたので、一緒に使いました」

弁護人「どれくらいの頻度で使いました?」

被告人「1ヶ月に1回程度です。日によっては10日くらい空いたりしてました。でも元旦那が、ヤクザの部屋住みになり、〇〇一家というところなんですけど、埼玉にある。それでネタが入らなくなってやめました」

弁護人「結婚はいつされました?」

被告人「結婚は平成10年か11年くらいだったと思います。長男が3歳くらいだったので、24歳か25歳だったと思います」

弁護人「結婚したときは覚せい剤は使っていましたか?」

被告人「その時は使っていません」

弁護人「その時はなぜ使っていなかったんですか?」

被告人「結婚して、元旦那さんの実家に住んでいたこともありますし、子供がいたので使いませんでした」

弁護人「その後また使うようになったのはいつですか?」

被告人「前回の逮捕時のときです。平成25年の8月の終わりくらいに捕まったので、その1ヶ月前から使っていました」

弁護人「きっかけはなんですか?」

被告人「きっかけは友達が、ネタないかなあっていうことで探しにいったところ、ある人が、北千住駅のロータリーに売っているというのを聞き、そこに買いにいったのがきっかけです」

弁護人「あなたがほしくて電話したんですか?」

被告人「友達が欲しがっていたので、私が探してあげて電話をしました」

弁護人「それは友達と一緒に使ったんですか?」

被告人「そうです」

弁護人「その時はどこで買ったんですか?」

被告人「北千住駅のロータリーのところで、外国人の男性から買いました」

弁護人「どれくらいの頻度で使っていました?」

被告人「最初は2週間にいっぺん。10日にいっぺん。そのうち友達は自分で買うようになって、私は1人で使っていました」

弁護人「どうして覚せい剤を使ってしまったんですか?」

被告人「子供を1人で育てていたのですが、子供達も思春期で、言うことを聞かなくなったり、いつ治るかわからない病気のイライラもあって手を出してしまった」

捨てた針を娘が中学校に持っていき、先生が通報


弁護人「どういうきっかけで、警察に発覚しましたか?」

被告人「それは、私が注射器の針を折ったものを、ゴミで長女に登校途中に捨ててって言ったものを、娘が私が薬をやっていたのに気がついていたみたいで、それをそのまま学校に持って行ったらしく、その後中学校の先生から警察に届けられました」

弁護人「それで前回逮捕されたと?」

被告人「はい。そうです」

弁護人「裁判になって、執行猶予になって出てきましたよね? その後はどんな生活をしていました?」

被告人「その後、子供が2人が児相に引き取られていたので、いち早く子供達を私の手元に戻してもらうために、いろんなところに相談したり、前回警察の私を逮捕した小泉警部補とも連絡を取って、おしっこの検査をして、尿から覚せい剤反応が出ていなかったよということを児相にも言ってもらったりして、子供を返してもらおうと一生懸命頑張っていました」

弁護人「子供はいつ戻ってきましたか?」

被告人「下の子は小学校6年生の時に児相に入ったんですけど中学校1年生の5月に戻ってきたんですが、上の長女は自分の意志から施設に行きたいということで、施設に行ってしまいました」

弁護人「そのあと長女はどうして戻ってきたのですか?」

被告人「やっぱりママの元がいいと電話がかかってきて、施設を抜け出して、私の元に戻ってきてくれました」

弁護人「で、3人で暮らしていたということですか? また3人で暮らすようになって、それからまた覚せい剤を使うきっかけになったのは、どうしてですか?」

被告人「それは私の元旦那が、私の住んでた家に行き来するようになってきて、元旦那がやっているのもわかっていて、元旦那さんから色々嫌みを言われたり、2時間くらい嫌みを言われたりして、ストレスがたまってしまって、元旦那がネタを持っていたので、それが始まりです。今回」

弁護人「元旦那さんが来るようになったのは、いつ頃のことですか?」

被告人「今年の3月くらいだったと思います。自分の家に人がいるので、いずらいということで、頻繁に来るようになりました」

弁護人「それから間もなく使い始めたということですか? その時はどれくらいのスパンで使用しました?」

被告人「最初はちょこっと元旦那が持っていたので。1回目はすぐアレだったんですけど、2回目3回となると、元旦那が私にはあげないということで、今度からこっちに電話しろと言われて、その売人に電話をして、買ったので、10日にいっぺんとかです」

弁護人「その売人から実際買ったのが今回の…」

被告人「はい。そうです」

女性の売人から買って、コンビニで受け渡し


弁護人「事件のときの覚せい剤、いつ手に入れましたか?」

被告人「6日から日付が変わって7日の夜中です」

弁護人「先ほどの売人から買ったんですか?」

被告人「そうです」

弁護人「電話番号はわかりますか?」

被告人「消去してしまったのでわかりません」

弁護人「なんていう名前の人ですか?」

被告人「偽名だと思いますが、リコといっていました。女性です」

弁護人「どんなやりとりで覚せい剤を買うことになりましたか?」

被告人「私は、グラムとか、量的に言うのがわからないので、その女性に1万円分くださいということをいいました」

弁護人「どこに受け取りに行きました?」

被告人「私の家の近くにセブンイレブンがあるんですけど、そこのセブンイレブンまで届けにきてくれて、私が取りに行きました」

弁護人「実際1万円購入したということですが、パケはいくつありましたか?」

被告人「1つです」

弁護人「購入したあと、どこで使いましたか?」

被告人「自宅です。買ったその日と、7日の日に初めてネタを使いました。自宅の自室です」

弁護人「どんなふうに使いましたか?」

被告人「注射器用に水溶液を作ったんですけど、もともと血管が細いので入らないので、水溶液を飲んで、使いました」

弁護人「2回目はどこで使ったんですか?」

被告人「自宅のトイレです。4月8日です。午後です」

弁護人「どんな方法で使用しました?」

被告人「注射器で何回やっても入らなかったので、水溶液を飲み込みました」

弁護人「それが最後に使ったものですか?」

被告人「はい。そうです」

弁護人「使った余りの覚せい剤はどうしました?」

被告人「私の生理のナプキンのポーチに入れていました」

弁護人「そのあと逮捕されたきっかけを教えてください」

被告人「4月9日に、朝午前中に元旦那が起きて、携帯電話の中のことで口論になり、顔を殴られたので、傷害で訴えるというと、早く警察を呼べと言うので、警察を呼びました」

弁護人「警察を呼んで何がありました?」

被告人「警察を呼んだところ、元旦那が、こいつの様子がおかしいと、警察に散々言って、私も警察にあいつの様子がおかしいと言ったんですけど、警察が両方とも尿検をすれば、疑いが晴れるだろうという提案をされました」

弁護人「それで検査しました?」

被告人「私は拒んでました。元旦那は検査をしたかどうかは定かではありません」

弁護人「最初にどういうかたちで尿を採られました?」

被告人「警察に逮捕されて、足立区にある五反野脳神経外科という病院で、尿を採り、反応が出ました」

弁護人「それは間違いない?」

被告人「はい。間違いないです」

弁護人「弁護人からは以上です」

裁判官「それでは次回についてですが、被告人質問、情状証人、他に何か予定しているものはありますか?では、6月15日13:30からの審理とします」


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後日、斉藤総一氏が裁判所で判決の結果を電話で問い合わせしたところ、判決は以下のようになった。

判決/主文、懲役1年4ヶ月 執行猶予2年。 未決勾留日数90日を、その刑に算入する。覚せい剤没収。

【斉藤総一】
自然食品の営業マン。妻と子と暮らす、ごく普通の36歳。温泉めぐりの趣味が高じて、アイスランドに行くほど凝り性の一面を持つ。ある日、寝耳に水のガサ入れを受けてから一念発起し、営業を言い訳に全国津々浦々の裁判所に薬物事案の裁判に計556日通いつめ、法廷劇の模様全文を書き残す。

<取材・文/山田文大>

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