更新日:2018年05月10日 19:51
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楽天がケータイ会社に参入!ユーザーにとって「アリかナシか」を予想してみた

キャリアになっても低料金を維持できるか

 携帯電話キャリアということは、自社で基地局などを所有して携帯電話回線網を整備するということ。だが言うは易し……で多くの困難を孕んでいる。最大の疑問は日本全国でちゃんと通信できるまで基地局を整備できるのか? そして、それによるコスト負担(楽天は6000億円と見積もる)をどの程度料金プランに反映するのかということだ。  楽天の三木谷社長は他誌のインタビューで楽天モバイルのユーザーも、徐々にキャリア版に乗り換えてもらうことを検討していると明かしている。となると、最低料金は現行の楽天モバイルに近い月額2000円程度(契約1年目)になるのではないだろうか?  また今以上に楽天のショッピング利用者を優遇するはずだ(そもそも楽天のスマホ事業最大の狙いはショッピング利用者を増やすこと)。しかも、自社回線だから速度低下問題や通話定額が提供しにくいなど格安スマホ特有の問題は解決できるはずだし、そうしないとユーザーが流出しかねない。ユーザーにはなかなか嬉しい話だが、果たして実現できるのか?  一応、楽天も策を考えている。NTTドコモやソフトバンクはLTEに加え前世代の3G網も維持しなくてはいけないが、楽天が整備するのはLTEのみだから大手キャリアより投資は抑えられる。ただ、過去に参入したイーモバイル(ソフトバンクが買収)や現在au傘下でデータ通信を手がけているUQ WiMAXなどは地方の通信インフラが貧弱だった。楽天も「都市部ではまともだが……」という状況になる恐れは十分にある。そこで、コスト的、時間的に回線網を整備しづらいエリアは現在の楽天モバイル同様にドコモの回線網を借り受けるつもりのようだ。  ただ、総務省は、「原則として自社でインフラ構築しなさい」という追加条件を出して楽天に釘を刺しており、目論見通りのコスト負担で済むかはわからない。そもそも、楽天がやろうとしていることは、いまのキャリアに例えれば、ソフトバンクがドコモから回線を借りるような話だ。果たして、「第四のキャリア」とまで言えるのか疑問が残るし、ドコモ回線を部分的にしろ借り続けるなら、料金プランの自由度も下がってしまう。  たとえサービスが始まっても「NTTドコモと同じ感覚・品質で利用できて、なおかつ安い」とまではいかないのではないだろうか(現時点での情報を見る限りでは)。<文/遠山 隆(AVライター)>
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