恋愛・結婚

早大卒カレシの部屋にドン引き「本棚は自己啓発本だらけ…意識高い系イタい人でした」

出た!ありがちな“インド旅行のヤバいエピソード”

 ふと彼は沢木耕太郎の『深夜特急』を手に取った。 「学生時代、インドに行ったのこれがきっかけだったんだよね」 「そうなんだ。どれくらい行ってたの?」 「行ったのは二週間弱かな。現地人がしつこく話しかけてきて殺そうかと思ったわ」 「ガンジス川にはダイブした?」 「するわけないじゃん。汚いから足先だけ浸かったよ」  インドに行ったきっかけから、その時のエピソードまで。その時江田さんが聞かされたのは、凡庸すぎるインドでの“ヤバい”エピソードの数々だった。 「なんでインド好きの早稲田生って自分が量産型の“変わった人”であることに無自覚なんですかね、仮にガンジス川に入って帰国後入院したとしても、それもまた早稲田卒の人で1万人はいるんじゃないですかね。全然個性的じゃない」  さらに彼女を落胆させるエピソードは続いた。 「他に彼の部屋を圧迫していたのが、彼が趣味としているギターでした。彼は数あるギターケースの中からギブソンのレスポールを取り出して『これすごく良いやつで、高かったんだよね』と自慢げに語ってきました」  そこで弦を鳴らすが、その腕前は素人の江田さんでもわかる下手さだったという。  もう照明を消して寝ようと思った江田さんだったが、彼のハグが続き、結局セックスの流れに。 「時刻はすでに26時をまわっていました。このままヤラなければ朝までグダグダが続くのも面倒……と思いさっさと済ませました」

おしゃれぶってると馬鹿にされる理由で「クラフトビールが好き」が言いにくい時代になったのかもしれない

 

バルミューダのトースターに、ロキノン系バンド…

 朝起きるとキッチンから香ばしい香りが漂ってきた。彼が江田さんのために朝食を用意してくれていたのだ。 「彼が使っていたのはバルミューダ社のトースター。たしかに一級品とあって、トーストの焼き上がりは外はサクサク、中はフワフワ、お店のパンのようでした」 「これにお手製のママレードジャムでも乗せたら最高だろうな…」と思った矢先、目の前で悲劇は起きた。 「彼はトーストの上に明太マヨネーズや納豆を大量に乗せ始めました。純喫茶でもやらないような強烈なオトコメシ。自己啓発書からギターまで、考えれば考えるほど、教養的であろうという振る舞いが空回りして、彼の浅さを感じてしまいましたね」  その後、部屋にあったロキノン系バンド(ロック系雑誌『ROCKIN’ON』に出てるようなバンド)のライブDVDを見せながらキズキくんからうんちくを語られたが、江田さんの耳にその言葉は入らなかった。 「そのわりに、資格には受からないし、TOEICの点数も711点と微妙。聞けば、早稲田も指定校推薦で入ったそうです。せめてそこは、OBの結束力がある早実か学院あがりであってほしいと思いましたね」  部屋を訪れたことがきっかけで彼のつまらなさに気づいてしまい、結局は別れを選ぶことになった江田さん。いま、後悔はないのだろうか。 「一時期結婚を考えたこともありました。『将来は音楽好きの集まるバーを開きたいから貯金をしたい。だから結婚は考えられない』と言い返されましたが、あの時むしろ断ってくれてよかったですね。彼は今週末もクラフトビールを“最高の仲間”と代官山の客単価が無駄に高いレストランで飲んでるんだと思います」 <取材・文/武にちほ> ― モテない男の部屋 ―
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