更新日:2022年12月30日 09:46
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ゴキブリがスーパー進化を遂げていた…人類とGの果てしなき戦い

夏の夜。喉の渇きを潤すため台所の電気をつけると、何やら異物の存在に……ギェエエーッ、Gだ。Gが現れた! 人類の敵・ゴキブリ。恐怖の最新生態と合わせて、今年の夏こそ我が家から根絶するための対策を伝授する。 [ゴキブリvs人類]最終決戦

ゴキブリには学習能力あり。「スーパーG」が増殖中!

 “スーパー害虫”という言葉をご存じだろうか? 近年登場した殺虫剤成分への抵抗性が何千、何万倍にも強化されたトコジラミ(南京虫)を主に指して使われ始めたが、まさか、Gもスーパー化しているのか? 殺虫剤の開発に携わる亀崎宏樹氏に恐る恐る話を聞くと、なんと衝撃の事実が……。 「ライフサイクルの短いチャバネゴキブリには、殺虫剤成分であるピレスロイドへの抵抗性が高まった個体がすでに確認されています。家庭に出没するクロゴキブリは寿命が長いのでそこまでの変異は遂げていませんが、学習能力があり、毒エサを避ける、待ち伏せ型の罠を回避するなどの行動が見られるようになっています」  やはりヤツらは進化していた! 人類が文明を発達させ、攻撃方法を先鋭化させるほど、Gはより強大な敵へと変貌するのだ。裏を返せば、人間の恐怖心がヤツらを進化させているとも言える。では、いつから人類とGの戦いは始まったのか? ゴキブリの歴史・生態に詳しい青木皐氏に話を聞いた。 「『コガネムシは金持ちだ~』という童謡がありますが、実はゴキブリのことです。複数の卵が入った卵鞘の形が財布に似ているため、『ゴキブリ=お金持ち』と歌われたんですね。それくらい、人間と共存している期間が長かった。それが恐怖へと変わったのは、戦後まもなく。小児麻痺が流行し、ゴキブリがウイルスを媒介しているという説が広まったことがきっかけと考えられます。母親は親の仇のようにゴキブリを敵視し、そこから日本人のDNAに“ゴキブリ憎し”が刷り込まれたのでしょう」  以来、メーカーも殺虫剤開発に力を入れ始める。だが……。 「かつてはリンデンなど強力な成分で撃退していたのですが、人体や環境への影響が懸念され、現在は使用できる成分も限られてしまっています。ですから、ある種の成分への抵抗性が増したら、別の成分へローテーションさせる、新手のギミックを開発するなど、人類側も手を替え、品を替え立ち向かってるところです」(亀崎氏)  人類とGの戦いは果てしなく続くのだ。 【青木皐】医学博士 コントロール・ラボ代表。神戸大学や東京大学で昆虫・微生物学研究に従事し、著書に『ゴキブリ取扱説明書』(ダイヤモンド社)など 【亀崎宏樹】メーカー研究員 ライオンのリビングケア研究所に所属。「バルサン」の開発を担当し、「害虫の生態や駆除方法」についての講演も行っている <イラスト/もりいくすお> ― [ゴキブリvs人類]最終決戦 ―
週刊SPA!6/5号(5/29発売)

表紙の人/ 松井珠理奈

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