仕事

生まれたときから下り坂…今年30歳を迎える’88世代の特徴

 「30歳まで新卒」という採用方針を掲げる大手企業が増えるなど、労働力不足に苦しむ日本において30歳の人材活用は急務と言えるだろう。とはいえ、最後の昭和生まれのゆとり世代は複雑怪奇。日本の未来に必要な彼らと向き合うべく、その生態を徹底調査した! 30代

デフレ社会にジャストフィットした超現実主義者[’88世代]とは?

 今年30歳を迎える’88世代。彼らは’91年のバブル崩壊直前に生まれ、激動の時代に育ったと言える。リクルートワークス研究所主幹研究員の豊田義博氏は「この世代から仕事への意識に明確な違いが出てきました」と前置きし、こう解説する。 「物心ついたときから経済は下向きで、’90年代末期に生まれた『格差社会』などの言葉のなかで育った。さらに’08年のリーマン・ショック後の超就職氷河期に就活し、新卒入社直前の’11年春に東日本大震災を経験した世代です。社会不安が常につきまとった彼らは“失敗したくない”という意識が強く、リスク回避志向が高い現実主義者が多いのが特徴です」  しかし、超就職氷河期で就活に失敗。今回SPA!が実施した30歳300人アンケートによれば、実に48%の人が転職を経験している。  そして、’88世代の別の特徴として芸能やスポーツの分野で活躍している人が多いという点があげられる。奇跡の世代と呼ばれ、MLBの田中将大投手などが存在。ゆえに彼らは、階層や能力次第で人生が激変する格差社会にいることをまざまざと見せつけられている。  一方、実際の生活面はどうか。国税庁の公表データによれば30~34歳正社員男性の平均年収は521.1万円(10年前と比べ17万円減)と少ない。社会デザイン研究者の三浦展氏は消費の減少を指摘する。 「食事は自炊で食費を減らすなど、シビアな金銭感覚を持つ傾向が窺えます。根底に、極力お金を使いたくないという意識があります。趣味も同様で、今はスマホでほとんど完結。よほどでなければ出費はしない。休日も家族や友人と自宅でもつ鍋パーティをしてますね」  アンケートの「休日の過ごし方」で「家でゆっくり過ごす」(65%)が1位なのもそのため。「一番大切にしているもの」では「家族や恋人」(42.7%)が1位で「お金(収入)」(29.3%)を上回り、「大震災の影響は大きく、仕事だけではなく、何が大切かを考える世代になった」と前出の豊田氏は語る。  “ゆとり”と揶揄され、パワハラ上司に苦悩してきたが故に現実主義者となった30歳がこれからどう生きてゆくのかが日本の鍵となっていく。
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