更新日:2023年03月12日 08:30
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バイトに明け暮れる外国人留学生の絶望「稼がないと生活できない…」

 また、技能実習制度もあるが、こちらは業務内容が限られている。その点、留学生ならば28時間の就労基準さえ守っていれば、より柔軟に仕事を選ぶことができる。  こうした仕組みから、明らかに就労目的で来日する“出稼ぎ留学生”も珍しくない。『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社)の著者・出井康博氏は現状をこう分析する。 「過去4~5年の私の取材経験から言えば、半数以上が出稼ぎ目的です。特に日本語学校に入学する留学生は、学校と組んだ斡旋業者に150万円ほどを払い、借金漬けで来日することも多い。翌年分の学費を貯めつつ、週28時間の労働で借金の返済をするのは無理がある。現状の法律は、仕送りのない留学生は想定していないんです」  仮に家探しやビザ申請などの費用を前払いしても、日本での生活を維持すること自体が大変だ。 「初期費用は親に払ってもらいましたが、’15年の中国バブル崩壊で仕送りがゼロになりました」  そう語るのは中国人留学生のリンさん(仮名・24歳・女性)。最大4つのバイトを掛け持ちし、今も労働地獄から抜けられない。 「日本に来たばかりの頃は、なかなか雇ってもらえず、月の食費は1万円。バイト先のまかないで食いつないでいました。今は語学学校の授業が終わるお昼すぎからコンビニ、夜は飲食店、休日は運送会社の冷凍倉庫で働いています」  週7日働いても、月給は15万円程度。家賃3万5000円のシェアハウスで暮らしているが、光熱費や携帯料金、学費を払うと手元には2万~3万円しか残らない。  リンさんの家を訪れると、個人スペースは2段ベッドの下層部のみ。薄い壁で仕切られているため、隣の部屋からは咳をする音も筒抜けだった。ギリギリの生活が続くが、現在は「なんとか日本で就職したい」と、忙しい合間を縫って就活に勤しんでいる。
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「留学生」と書いて「労働力」と読む現状
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