「夏バテで倒れて死にかけた」 エアコン、睡眠…5つの危険サイン
「意欲が高まると活発に活動してしまい、結果として自律神経を酷使する。それを避けるために意欲が減退する仕組みです。実際には意欲減退の前に“飽きやすい”という症状が出る。飽きは疲れのファーストサイン。好きなことにも集中できなくなったら夏バテの兆候だと思うべきでしょうね」
ただ、ヤル気の減退程度で済めばまだマシ。夏バテ状態を解消せずに放っておけば、より悲惨な状況も招きかねない。
「自律神経で対処できなくなると、体は内分泌系の機能に頼ります。するとステロイドホルモンを分泌するんですが、これがくせもので糖尿病リスクを高めてしまう。放置すると生活習慣病のリスクも高まりますし、脳卒中や心筋梗塞の可能性も高くなってしまいます」
大病にもつながりかねない夏バテだが、梶本氏はこの季節に急増する熱中症も「自律神経の不調が原因のひとつ」と語る。昨年の5~9月、熱中症で救急搬送された人数は5万2984人。この数字は一昨年と比べると2572人増えている。さらに、熱中症=高齢者というイメージもあるが、18歳以上65歳未満の成人も約35.6%とかなり多い。熱中症に詳しい横浜国立大学の田中英登教授は、「働き盛りだからと安心していては非常に危ない」と語る。
「ひとくちに熱中症と言っても、原因や症状で熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病の4つに分類されます。熱失神は一過性の血圧低下、熱けいれんは塩分不足、熱疲労は高体温や水分不足が原因。これらが組み合わさって熱射病になれば、命の危険もあります。軽い熱中症でも夏バテと組み合わさると危険な状況になることもあるので、この季節は特に注意すべきですね」
蓄積された夏バテと熱中症、そして酒の組み合わせで死の淵に……。前出の生方さんなどは“キラー夏バテ”を地でいく例だが、こうした症状を防ぐためにはどうすればいいのだろうか?
「熱中症で言えば、体への熱負荷がポイント。日射が非常に強い屋外はもちろん、閉め切った屋内でエアコンを使っていない状況でも起きやすい。気温だけでなく湿度も重要で、湿度が10%高くなれば気温2℃上昇と同じ程度の熱負荷がかかります」(前出・田中氏)
となれば、当然有効なのはエアコンだ。いまだに「エアコンをつけて寝るのはNG」という風潮もあるが、前出の梶本氏は「100%間違い」と断言する。
「エアコンをつけずに寝て夜中に暑さで寝汗をかいて目が覚める。これは最悪です。本来、睡眠を取ることで自律神経を休めますが、寝汗をかくということは自律神経が全然休めていない。自律神経の機能が回復せず、夏バテの症状を加速させてしまうんです」
しかし、そんな便利なエアコンも使い方を誤るとリスクも生まれる。田中氏は次のように話す。
「冷えすぎはやはりよくないですし、気流を直接肌に浴び続けると脱水症状になる可能性も。お酒を飲んだ夜などは特に危険です。扇風機などで間接気流をつくり、エアコンが苦手な人はタイマーも活用を。また、冷感スプレーは体温を下げずに涼しさを感じさせてくれますが、外出前に使うと体温調整機能を失い非常に危険。使用は外から戻ったときにしましょう」
現役世代でも高い熱中症や夏バテのリスク
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