更新日:2018年08月01日 22:49
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「地球温暖化が続く限り、豪雨も猛暑も増え続ける」温暖化研究者らが警告

化石燃料の使用をやめ、再生可能エネルギー100%社会への移行を

巨大氷河

グリーンランドの氷山の分離はここ100年で急増。7月12日には高さ100mの巨大氷山が発見され、津波の危険から住民が避難

 これ以上の温暖化を食い止めるには、具体的にどうしたら良いのだろうか。国際環境NGO「グリーンピース・ジャパン」の高田久代エネルギープロジェクトリーダーは、「日本にできる対策として、化石燃料を使った発電の中でも、CO2排出係数の特に高い石炭火力発電をやめること。新しくつくらないことが重要ですし、そうした方針を日本政府は示すべきです」と言う。 「温暖化防止のためには省エネを最大化して、すべてのエネルギーを持続可能な自然エネルギーでまかなう社会をつくっていくことも必須でしょう。しかし、先日決定された『エネルギー基本計画』は、向かうべき方向とまったく逆のものとなってしまいました。 『自然エネルギーを主力電源化する』とは言いつつも、その割合は従来と変わりません。本来であれば、自然エネルギーを優先的に送電線に接続し、優先的に給電していく仕組みが推進されるべきです」(高田さん)  国際環境NGO「350.org Japan」広報担当の棚尾真理絵さんは、「石炭をはじめ、石油や天然ガス等の化石燃料から、よりエコなエネルギーを使う社会を“金融から”つくっていくことが大事」だと主張する。 「化石燃料関連ビジネスからの『投資引き揚げ』こそが、再生可能エネルギー100%社会への移行を促すための大きな鍵となってくると考えています」(棚尾さん)  350.org Japanは、他の環境NGOとともに、メガバンク3行に対して化石燃料への投融資をやめるよう働きかけている。

インドネシアのCO2大量排出は、日本としても他人事ではない

「日本の人々には、もっと東南アジアでの環境破壊の実態を知ってほしい」と語るのは、熱帯林の保全に取り組む「ウータン・森と生活を考える会」の石崎雄一郎事務局長。 「インドネシアでは、日本に輸出されるパーム油の原料となるアブラヤシや、紙の原料となるパルプのためのプランテーションによって、森林破壊や泥炭地の開発が進んでいます。温暖化を止めるためには、森林や泥炭地の保全が重要です」(石崎さん)  プランテーションの開発のため泥炭地を排水して乾燥させると、泥炭の分解が始まり、大量のCO2が放出される。森林火災や泥炭地開発によるCO2放出を含めると、インドネシアは世界第3位の温室効果ガス排出国になるとも言われている。このことは、パーム油や紙パルプを大量に輸入している日本としても他人事ではないのだ。  日本では「すでに省エネをやっている」との驕りや、メディアが科学的根拠に乏しい「温暖化懐疑論」を無責任に取り上げてきたことなどから、社会全体としては温暖化対策への意識が高まっているとは言えない状況だ。今後も異常気象のさらなる猛威に対峙していかなければない中で、日本人の意識改革が必要だろう。 ※『週刊SPA!』7月31日発売号「地球温暖化に殺される!」より 取材・文/志葉玲 写真/時事通信社 AFP=時事
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週刊SPA!8/7号(7/31発売)

表紙の人/ TIF選抜

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