更新日:2018年11月09日 16:53
ライフ

夢のタイ移住で、貧困に沈んだ日本人女性。「物価が安いはず」は甘かった

収入は上がるも、路地裏の安アパートに引っ越したワケ

 給料の割にかかる生活費。次第に嫌気が差していったマユミさんは、転職を決意。フリーのネイリストになった。 「今は駐妻相手にネイルをしたり、結婚式等のヘアメイクで生計を立てています。といっても、仕事が入るのは主に週末なので月収は2万バーツ(約7万円)ほど。後は知り合いのバーの手伝いをしているので、月収6万バーツ(約208,000円)ほどですね」  特に生活に不自由なさそうな金額だが、それ以上の支出があるという。 「美容室を辞めた時にワークパーミット(労働許可証)を返却しちゃったので、ビザがないんです(本来は就労ビザとワークパーミットが必要)。今は観光ビザを取得していますが、それでも3カ月が限界です。ビザがないときは30日間しか滞在できないので、そのときはネイル道具の買い付けとして日本に帰って、またタイに入国する『ビザラン』を繰り返しています。一回のビザランで5万円は飛ぶので常にビザラン貧乏です。そのために以前より給料は良くなったのに、安い家賃のアパートに引っ越しました」
部屋の写真

バンコクの路地裏にひっそりとたたずむマユミさんの住まい

 バンコクの路地裏にひっそりとたたずむマユミさんのアパートの家賃は、以前の半額の7000バーツ(約25,000円)。バンコクの日本人が住む物件の中でも最安だという。家具家電付きだが、シャワーの水量が少なくほとんど水しか出ないのが悩みだという。 「服や食材は少し遠くにあるローカル市場で買っています。洗濯は週1回のみ、下着を裏返して2日間履いています。どうしてそこまでしてタイにいたいのか自分でもよく分からないんですが、今さら日本に帰っても再就職できる自信もないし、また鬱になるのが怖い。とりあえず、生きていられる間はいようかなと思っています」  これが海外で生活する日本人のリアルな貧困状況だ。今回話を聞いたマユミさんの周りには、それぞれ理由は違っても、同じように貧困にあえぐ日本人も少なからずいるという。   物価の安い東南アジアで一旗揚げる……そう夢見て訪れる日本人は今も少なくない。だが、在外日本人の貧困問題は、国内と同じように深刻な問題なのかもしれない。
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる

やる気ゼロ、貯金ゼロ、計画性ゼロ。ポンコツキャバ嬢による、タイ、香港、シンガポール、カンボジア、ベトナムの「日本人向けキャバクラ」潜入就職&アジア夜遊び放浪記。

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