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入ったら出られない竹藪、触れるとたたられる木…全国に残る「禁足地」とは

少なくなってきた“禁足地”

吉田「いま現在、『入ったら祟られる』とされる禁足地は総数として少なくなっています。かつてほどの信仰が弱まり、霊的なものへの怖れが薄くなったからでしょう。  あるいは現代的に『(史跡や文化財なので)公共ルールとして立ち入り禁止です』というような言い方に変わっているところもあります。  現代社会において、そうした言い方をせざるをえない事情もあるのかもしれません。  とはいえ少数ながら、いまだ濃密に『祟り』が怖れられているエリアも幾つかあり、そうした場所は独特の雰囲気を感じます。  私には霊感がないので、『祟りの気』みたいなものを感じているのではなく、『今なお多くの人々が怖れている場所だ』という事実から、ある種の緊張感を覚えてしまうのでしょう」  「禁足地」の総数はわからないが、減少していることは確かだとか。  また、女人禁制だった禁足地に女性も入れるようになったり、逆に世界遺産に登録されたことで、禁足が厳しくなった地などもあり、時代とともに移り変わりがあるという。  吉田氏がもっとも印象に残っている禁足地はどこだろう? 「この著書に際して取材した、福井県『ニソの杜』と、奈良県『神武天皇陵』です。
ニソの杜

福井県大飯町、ニソの杜のひとつ、清水の前の杜

神武天皇陵

奈良県橿原市、神武天皇陵

 禁足地とその周辺地域における『場所』そのものの興味深さもある上、それらが辿ってきた歴史的経緯も非常に興味深いです。  また、もし行かれるとしたら、福岡県『沖ノ島』は、過去の現地大祭で上陸できそうだったのに叶わなかった経緯があるので、行ってみたい気持ちが強いです。  ただ大祭での一般人上陸がなくなった現在、よほどのことがなければ入島は許可されなくなってしまいましたが」  足を踏み入れてはいけない場所だが、近くまで行くことはできる。たとえば、千葉県の「八幡の藪知らず」なら、道路沿いに内部のほぼ全容を見ることができる。人々の恐れと畏れが同時に存在する雰囲気を味わうことができるのではないだろうか。 <写真/吉田悠軌>
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「見たものを口外してはいけない、お言わず様」や、沖縄の御嶽、天皇陵など 禁足地についてもっと知りたい方はコチラを。
禁足地巡礼』吉田悠軌・著 扶桑社新書

人が足を踏み入れてはならない場所が、日本各地には点在している。

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