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メイウェザーVS那須川天心はなぜ実現できたのか? 裏事情を元K-1石井館長がガチンコ予想

天心の“金星”の可能性は?

──そもそもエキシビジョンって、どういうことなんですか? 格闘技がわからない人のために説明してください。 石井:これはですね、実は定義が非常に曖昧(苦笑)。対戦する2人が「この試合はエキシビジョンなんだ」という共通の認識を持っていた場合、初めてエキシビジョンになるんです。だけど、どちらか一方が相手に明確なダメージを与えようとしていたら、これはエキシビジョンとして成立しない。つまり……真剣勝負ということになります。 ──ということは、この一戦は通常のエキシビジョンとは意味が違いますよね。だって天心はメイウェザーを本気で倒すつもりなんですから。 石井:その通りです。ジム内でやる仲間うちのスパーリングみたいなエキシビジョンになるはずがない。エキシビジョンと謳われてはいるけど、これは限りなく真剣勝負だと考えてください。とはいえ、真剣勝負であってもメイウェザーは余裕しゃくしゃくだと思いますよ。リーチ差も体重差もあるうえに、自分のルールなわけだから。 ──実際の試合展開は、どうなると予想しますか? 石井:1R、メイウェザーはまず様子見でしょう。天心も最初は様子を伺うかもしれませんが、メイウェザーが攻めてこないことを確認すると、1R中盤くらいからはガンガン前に出てくるはずです。そしてメイウェザーは牛若丸戦法でのらりくらりとスウェーでかわす。メイウェザーはクリンチワークも巧みに使うでしょうね。そこで頭にきた天心が膝でも出そうものなら、メイウェザーのセコンドは猛抗議ですよ(笑)。1R終盤になると、メイウェザーもカウンター気味にジャブで反撃すると思います。  2R以降はメイウェザーが完全に試合をリードするでしょうね。天心は踏み込んで前に出ようとするんだけど、メイウェザーはクリンチワークやダッキングを織り交ぜながらクルクル回っていく。そして、たまにカウンターをビシッと当てていく。天心はKOされることはないにせよ、ダウンさせられる確率は決して低くないと思いますよ。逆に天心のパンチも何発かはメイウェザーにクリーンヒットするでしょう。でも、ダウンは奪えない。ボクシングには、パンチが当たった瞬間にダメージを軽減するテクニックがあるからです。 ──老獪なボクシング技術はお手の物でしょうしね。 石井:実際、メイウェザーが「パンチをもらうけど、倒れない」という作戦を取ってくれると、会場が一番盛り上がるんですけどねぇ(笑)。一度キャンセルをした以上、メイウェザーは何をやってもヒールですから。もちろんメイウェザーも、その日本人の反応は織り込み済みでしょうけど。そのヒールを全力で倒しにいくわけだから、天心に対する応援はすさまじいものになるはずです。つまり、この試合は盛り上がるに決まっているんですよ。これは元気がなくなった日本の格闘技界に打ち上げられた大きな花火ですから、みんな全力で応援してあげてほしいなと思います。<取材・文/小野田 衛 撮影/丸山剛史> いしい・かずよし◎1953年、愛媛県生まれ。新日本空手道連盟・正道会館、宗師。空手普及の目的で93年にK-1グランプリを開催する。以降、次々と刺激的なマッチメイクを実現させ、多くのスター選手を育成。90年代~00年代における格闘技ブームの立役者となる。現在、『まんがライフWIN』(竹書房)で連載中の『どるから』では原作を担当。石井氏がモデルと思われる人物が女子校生に転生するという奇想天外なストーリーが話題になっている。
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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