プライドをずたずたにされた倉田さん。妻がクライアントが言っていたような、“派手なブランド服を着こなして外出”するたびに「男とラブホか」疑心暗鬼になり、嫉妬で気が狂いそうになった。しかしなぜそれを咎めないのか不思議で仕方ない。 「だってそれで『離婚する』なんて言われたら大変ですから…」 　妻が好きすぎて気を遣いすぎているのは情けない気もするが、その気遣いも虚しく、倉田さん夫婦は何年もセックスレスなのだという。 「ボディービルをやり始めてから、妻とは関係を持てていません。『ムキムキ過ぎてキモい。前の方が良かった』と妻は抱かせてくれないんです。ひょっとして、ボディービルを始めてからすぐに他の男と肉体関係を持ったのではないか。それとも、始める前から既に妻は浮気していたんでしょうか」 　CA同士の交流会や女子会という理由で外出する妻に、つい疑いの目を向けてしまう。一つ屋根の下で一緒に暮らすのが辛くなって、倉田さんはとうとう親友に相談することに。 「親友は『まさか』と絶句しました。ラブラブだった新婚当時のことも知っていますからね。でも、僕自身もそのことを思い出し、妻に対する愛情が蘇ってきたんです。改めて『離婚には踏み切りたくない』と思いました」 　親友から、不倫をやめさせるため、「探偵に調査依頼をしてはどうか」と提案された倉田さん。だがプライドの高い妻の性格を考えると、調査書をつきつけたら、開き直るか、キレてそのまま離婚という可能性が大いにある。 「今も妻が好きだし、離婚なんて絶対に嫌だ。まずボディービルをやめました。土日は家族と一緒にいると宣言したら、妻に『それもなんだかウザいわね』って言われてしまいましたが…」 　ボディービルを止めたものの、いまだに妻は指一本も触らせてくれないそう。不倫を疑いつつ、今も目をそらし続ける倉田さん。他人の家庭にとやかく言うつもりはないが、果たしてこれが幸せの形なのだろうかとは思ってしまった。＜取材・文／夏目かをる＞コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛＆婚活＆結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆～恋、のような気分で♪」