更新日:2023年03月12日 09:08
仕事

年収1000万でも「結婚できない」アラフォー・アラフィフ男たちの事情

遊ぶ女性には困らないが…

結婚 外資系証券会社に勤務する笹原郁雄さん(40代・仮名)も、前出の成田さん同様に幼い頃からエリート街道を爆進してきた。東京大学在学中にヨーロッパやアメリカの名門大学に留学し、帰国後は超大手保険会社に就職。ヘッドハンティングなどを経て、現在の会社に籍を置く。20代は激務に次ぐ激務で、「遊ぶ暇なんてほとんどなかった」と言いつつも、夜はカネにモノを言わせて六本木や銀座の街を練り歩いていた。当然、遊び相手の女性には困らなかった。 「当時の年収は2000万円ほどありましたね。高級な店に飲みにいっても、所詮ひとり分だから使いきれない。一夜を過ごす女性はたくさんいて、彼女が欲しいと思うことは一度もなかったですね」(笹原さん)  転機が訪れたのは、リーマンショック(2008年)の直後だ。証券業界は大混乱に陥った。同僚が自殺したり失踪したり、病気になって退職したり。そんな中でも、しっかり働けていたのは家族がいる同僚だった。みな、精神がおかしくなりそうな状況で働く中、その支えは「家族だ」と話していたのである。 「そうか、家族ってそんなにいいものかと思いました。私自身、都心の4LDKのマンションに暮らしていましたが、ここに暖かい家族が築けるなら、などと夢想していたのです。それですぐに婚活を始めましたが……」(同上)  そんな笹原さんがぶち当たったのも「近寄ってくる女性がカネ目的なのではないか」という、独身富裕層ならではの疑心暗鬼だ。暖かい家庭を持ちたい、という希望を満たしてくれるような女性は皆無に思え、焦るがあまりに、詐欺師のような女にも引っかかってしまった。 「カネなんていらない、あなたの人柄に惹かれた、なんて言われてグラッときました。ところが、いざ結婚することになって戸籍などを取り寄せたところ、どうも彼女の態度がおかしい。戸籍を私に見せようとしないのです。問い詰めたら、離婚歴だけではなく、2人の子どもまでいることが発覚。同時に数百万円の借金まで判明し、もうぐちゃぐちゃです。婚約は解消し、あまりのショックに1週間寝込みました」(同上) 落ち込む 結局は未婚のまま、さらには女性不信に陥った笹原さん。現在は都心の2LDKタワマンに住み替え、相変わらず忙しい日々を送っているが……。 「今は23歳の彼女と同棲しています。カネ目的? そりゃそうでしょう(笑)。もう開き直ったんですよ、どうせカネ目的で見られているなら、相手は若い方がいい。まあそのうち彼女が私と結婚してもいいよ、なんて考えるようになってくれれば御の字。海外旅行に行ったり美味しいものを食べたり、あとは彼女が目指している資格の試験のために、色々と援助しています。結婚は諦めていませんが、急ぐつもりもない。結婚してすぐ、相手に介護をお願いするなんていうのも惨めでしょう」(同上)  ある意味「達観」しているようにも見えるが、結婚を諦めていない、というのは、この世代の未婚者の偽らざる本音ではないだろうか。
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キャリアウーマンの彼女が進歩的な考え方で…
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。

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