更新日:2023年03月12日 09:08
仕事

年収1000万でも「結婚できない」アラフォー・アラフィフ男たちの事情

キャリアウーマンの彼女が進歩的な考え方で…

結婚 最後はIT企業役員の一ノ瀬荒太さん(50代・仮名)。ここまでは女性が“カネ目的”に思えてしまうという金持ち男性ならさもありなん、といった感じだが、時代の最先端をいくキャリア組同士が付き合うことで結婚ができない場合だってある。  これまでの2人と同様、高学歴な一ノ瀬さんだが、親の仕事の都合上、20歳までのほとんどの時間を海外で過ごした。20代で知人らとIT企業を立ち上げ、その後は様々な会社の役員を務め、現在の会社に転職。収入はコンスタントに1800万円以上。都内で開かれたIT系セミナーで知り合った彼女(30代)と所有するベイエリアの高層マンションで同棲し、今年で5年目だ。側から見れば「順風満帆」で今風な男女に思えるが……。 「彼女も海外帰りで、考え方が“進歩的”というか……。結婚に関しては事実婚でもいいし、お互いの気持ちを尊重しようというスタンスでした。私もそういった彼女の考え方が気に入り付き合い始めたのですが、やっぱり、年齢と共に“結婚”という形がほしくなったんです」(一ノ瀬さん)  ある日、結婚を切り出した。しかし、「話が違う」「私に専業主婦になれってこと?」と激怒された。年齢的に子作り、子育てが厳しくなってくると指摘すると、女性蔑視だと金切り声をあげ、家を出て行ったのだ。 「彼女の考え方は尊重しますよ。でも、この歳になってから、家庭の温かみとか、子どもが欲しいとか、気持ちが変わってきたんです。そうした私の思いも、少しはわかって欲しいんです。結婚という制度になぜこだわるのか、こう詰問されましたが、ではなぜ、その制度を頑なに拒否するのか。お互い平行線で議論もできません。彼女に対する気持ちが冷めていくのがわかります」(同上)  国立社会保障・人口問題研究所の調査(2015年)によれば、男性の生涯未婚率は23.4%で、すでに5人に1人だという。この先もっと増えていくかもしれないが、それぞれに“事情”があることを理解しておかないと、表面上だけの議論で「未婚者」を嘲笑うような世論が出てきかねない。いや、すでにそうなってはいまいか。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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