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パリから前橋へ。パレ・ド・トーキョーで活躍したフランス人アーティストが鉄板焼きをアートにした

 さらには、ジャーナリストとしての活動も新たな展開を見せている。 「最近、私は北極圏に住むイヌイットの食文化をテーマにした小説をフランスで出版しました。これまで各国の食肉の解体や料理の現場をカメラに収めて、写真集もつくってきたのですが、グローバリゼーションが進むなかで古くから続くイヌイットの食文化は消滅の危機にあります。それを訴えるために小説という形の表現にもチャレンジしたんです」

ジルさんが描いた小説『GRISE FIORD』

 前橋の地で田んぼや畑を耕し、地元の人々と交流しながら、そこで受けた刺激をアートにして今も世界を飛び回っているジルさん。まさに越境を続ける彼にとって、実は「アート」は決して上位概念でなく、アート作品をつくることも、料理をつくることも、農作物をつくることも、人と人の結びつきをつくることも、その他すべても等価値に尊いものなのだろう、と感じた。 取材・文/茂木響平、織田曜一郎(週刊SPA!) 撮影(作品写真以外)/織田曜一郎(週刊SPA!) 通訳/小高麻衣子 協力/福西敏宏(合同会社前橋文化計画)
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※ジル・スタッサールの個展が群馬県前橋市で開催中。ただし、今回は「食」がテーマではありません。その詳細は次回! <ya-gins vol.33 Gilles Stassart「Genealogy」>

会場:ya-gins
住所:〒371-0022 群馬県前橋市千代田町3-9-2弁天通りアーケード内
会期:2019年4月28日まで
オープン毎週金・土・日曜
時間:13:00-20:00
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