そこで中村氏は「俺が金を出すから、風俗に行ったらどうだ？」と勧めた。すると「汚らわしい。自分の体は清いんだ」と逆ギレしたという。 「中年童貞はなぜか、風俗にいかないというプライドを持ってることが多いんです。『風俗に行くような男は最低』だと蔑んでいる。だから厄介なんですよ」 　その後、ヒデオが例の女子社員に何かをするということはなく、中村氏も安心していたようだが…。 「突然、ヒデオの恋愛対象が認知症の高齢の女性になったんです。入浴の介助の時、高齢女性の乳首を見るたびに『ギャーギャー』騒いで興奮するようになってしまって」 　これは想像だが、例の事件で女性に抵抗されたことで、ヒデオは深く傷ついたのかもしれない。普通に考えると、彼の取った行動はただのセクハラなのだが、自分ではそういった認識がなかった可能性もある。 「まあ体を触ったりするセクハラや虐待をしていたわけでもない。興奮しているだけだったからまだ良かったですが」 　仕事場でも孤立しがちのヒデオだが、おばあさんの介護の時だけはいきいきとしていたそう。取材を通し、中年童貞と同じく、介護業界の闇も深刻だと感じだ筆者である。＜取材・文／夏目かをる＞コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛＆婚活＆結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆～恋、のような気分で♪」