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「クビ切りに怯えるのが嫌で…」早期退職を志願した40代のその後

 時代の変わり目に合わせるかのごとく、企業の“人切り”が急速に進む昨今。その犠牲になろうとしているのが45歳以上の会社員たちだ。50歳を前に長年勤めた会社を追われた人たちは今、何を思うのか? 退職に至るまでの経緯と、当時の心境を当事者たちが振り返る――。
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※写真はイメージです

クビに怯えるよりも自ら早期退職を決断

[後悔度70%]小松智司さん(仮名・48歳) 前職の年収 900万円/退職金 4000万円/現在の年収 600万円  早期退職の対象となった45歳以上のサラリーマンには、以前から危機意識を持っていた人も少なくない。昨年、製薬会社を早期退職した小松智司さんもそのひとりだ。 「製薬業界は’00年代から頻繁にリストラが行われていました。MRと呼ばれる医療業界の営業担当者も段階的に人員が削減されていましたし、40代後半の私たち世代は、人数は比較的多いのに年齢的に対象外になっているケースが多かったのですが、楽観視しているのは無理な話でした」  小松さんは’14年に20年近く担当したMRの仕事から外され、内勤の部署に異動。激務から解放されたことを喜んだが、「同時に嫌な予感もした」と話す。 「そうしたら案の定、会社は早期退職者の募集を発表。異動先は追い出し部屋のようなあからさまなプレッシャーはないですが、半日で終わる程度の仕事量しかなく、自分は必要とされてない人材だと感じました。収入も大事ですけど、私は仕事のやりがいも重視するタイプ。いい転職先があれば早期退職に応募するつもりでした」  すると、医療系の人材派遣会社で働く知人から「よかったらウチに来ないか」と誘われたとか。

転職先では前職ではなれなかった課長に

「提示された年収は600万円。300万円の減額でしたが、人材として求められているのは嬉しかったです。恐らく会社に残っても早期退職者の募集は今後もあるはずですが、50代になってから辞めたら今回のようないい転職先はもう二度と見つからない可能性もある。クビ切りに怯えながら働くなら退職金をもらって辞めたほうがいいと思ったんです」  転職先は人間関係も良好で、前職ではなれなかった課長として若い社員たちとバリバリ働いている。 「住宅ローンは退職金を充てて完済しましたが、貯金は700万円しかなく老後が不安です。子供は1人だからまだよかったですが、転職で生涯年収が下がってしまったため、この調子だと65歳以降も働くことになりそうです」  退職金があるとはいえ、多くの場合は定年まで勤め上げるよりも生涯年収は下がる。それだけに人生設計の見直しも必要である。 ― 45歳以上はクビ!の恐怖 ―
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