この突然の暴言に、今日子さんは何のことを言っているかさっぱりわからず、きょとんとしてしまった。すると男性は、さらに言葉を続けた。 「どうせ男に養ってもらうつもりだろう。男の経済力を頼って、好きなブランドを買って、高給なものを食べて、男の稼ぎを使いまくる。クズだ」 　あ然として言葉がでなかった今日子さん。「見合いは相手を探す一つの手段で、私は結婚してからも働くから、夫の稼ぎで贅沢をしようとなんて考えていない」と思ったが、言い返せなかった。一方、相当お怒りだったのか、男性の言葉は止まらない。 「俺たちの時代は『あなたに付いていく』という女ばかりだった。それが最近じゃ、やれ年収やら職場やら条件をつけて男を選り好みする。アホみたいな奴が多い時代になった」と…。 　見かねた別の客が男性を宥め、その間に今日子さんに席移動を促してくれた。暴言を吐きまくった男は「世の中バカばかりだ！！」と捨てゼリフを残し、店を後にしたという。 「確かに、あの人の時代は女は男より下に見られていたのかもしれません。でもそんな暴論、今の時代では通用しませんよね。自分の価値観を持つのは自由だけど、それを押し付けて人を不快にさせるなんてひどすぎる」 　あれ以来も、行きつけのバーに通い続ける今日子さん。だが誰に何も言われるか分からず、婚活の話はしないようにしたという。暴言を浴びせた男性の言いたいことも分かるが、時は令和。時代に取り残されないようにしてもらいたいものだ。＜取材・文/夏目かをる＞コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛＆婚活＆結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆～恋、のような気分で♪」