しかしながら、彼女の出演作で特筆すべきは1998年に公開されたACジャパンの広告作品だろう。中・高校生を対象として展開された覚せい剤撲滅キャンペーンのCMで、普段の日常生活にも潜んでいるドラッグへの誘惑や、安易に薬に手を出すことの恐ろしさを短時間の中でしっかりと描かれている。この中で小嶺は、ドラッグを友人たちに売買する女子校生を演じており、意味深な微笑みを見せて暗闇へと去っていくラストシーンが非常に印象的だ。今となっては、彼女がその後辿る人生を象徴しているかのようで、少し背筋が寒くなるが。 　2006年には三億円事件のその後を描いた映画『初恋』で、トップレスのヌードシーンを披露。その後も二時間ドラマや連続ドラマのゲスト出演などをコンスタントに続けていたが、2012年に公開された映画『ボレロ』を最後に表舞台から姿を消している。 　美少女演技派女優から大人の女へ。そのステップアップの中、田口との出会いが一体彼女に何をもたらしたのか。真実の究明が待たれる。＜文／もちづき千代子＞