その女性は、ついにホテルの外にいたチンピラ風の男に向かって「大麻やってるでしょ！」と絡んでしまったのだ。男は案の定ブチギレ、女性は追っかけられてホテル内に逃げてきたのだ。男もホテルの中までは追ってこなかったが、女性は恐怖を感じたのか、この場から早く去らねばと昼過ぎに急いでチェックアウト。 「後からわかったことですが、どのホテルでも彼女はブラックリストに入っていたようです」 　チェックアウトした後の部屋には、3冊の日記や、ATMの残高証明書が落ちており、なんと残高300万円と書かれている。働いている様子はなかったが、親がお金持ちなのだろうか……。 　忘れ物は3か月保管の後、処分することになるのだが、坂本さんは日記の中身を見て驚愕したという。 　プライバシーの観点から詳細は省き、一部改変して紹介するが、とにかく文章は支離滅裂で「サイパンはアリ王子が守っている」など妄想がすごい。大麻をはじめ、政治や宗教団体の悪口、中国人、朝鮮人に対する罵詈雑言ばかり……。また、日記にはこうも綴られていた。 「とうとうホテルの予約ができなくされた。何かしたかな、ハメられたかな」 　その後、彼女がどうなったのかはわからない。客側にも事情があるのかもしれないが、そこで働くホテルマンの苦労は計り知れない。＜取材・文／浜カツトシ＞ ― シリーズ・店員が語る困ったモンスター客 ―