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コンビニなのにまるで“ウーバーイーツ”…店員が困惑する常連客の例外ルール

 私が以前勤めていたコンビニはオフィス街でありながら住宅街でもあるという特殊な立地。店の裏には数十世帯が入居する大きなマンションがいくつも立ち並び、早朝や深夜であってもそのマンションの住人が買い物に訪れることも珍しくなかった。  出勤時間~昼時はもちろん、夕方~19時の帰宅時間にかけてはオフィス街のサラリーマンたちが訪れるため、昼夜を問わずかなり忙しい店舗であった。  そんな店舗に私が配属されるずっと前から“常連”として認識される「名物おばさん」がいた。身元のわかる常連であれば、本来ならNGなルールでも例外的にアリとなる場合も稀にあるのだが、配属されてすぐ、そのトンデモぶりを知ることになる。
コンビニ

※写真はイメージです(以下同)

例外で「配達してあげることになっている」名物おばさん

 その「名物おばさん」はすぐ裏のマンションの11階に住んでいた。旦那さんと店に買い物に来ることもあるし、一人で買い物に来ることもあったが、ある日は店に電話をかけてきた。 「あのね、いつものコーヒーゼリーを2つ届けて頂戴。それから10個入りのたまごもね、あとは食パン」  なんと配達の注文である。私の勤務していたお店では忙しいこともあり基本的には注文は受け付けていなかった。しかし、その「名物おばさん」に限って、一度過去の店員が受け付けてしまったとかで例外的に届けているらしい、と古くからこの店で勤務している先輩社員の高谷さん(仮名)は言う。そのような事情であれば仕方がない。 「電話を取った人が原則行くことにしてるから」  という高谷さんから、「名物おばさん」の住んでいる部屋番号を聞いた私は準備を始めた。

コンビニ商品の配達をするのはかなり面倒

 Uber Eatsや宅配ピザのように宅配をするシステムがもともと備わっていないコンビニにとって、お客様の自宅への「配達」は厄介だ。まずはお届け前に全ての依頼された商品を店内で集め、レジでスキャンし、「ぴったりの金額を現金で支払われた」というテイでお会計を完了しレシートを出す。  そして、お客様がどのお札や小銭の組み合わせを出してきてもおつりを出せるように小銭を持参する。「名物おばさん」の場合はこなれたもので、電話で注文する際に「今日は1000円札を出すからそれでおつりを持ってきてちょうだい」なんて言ってきたりする。  その後、他の社員やアルバイトさんたちに「名物おばさんのお届け物に行ってきます」と声を掛けて店を出る。もちろん制服姿のままだ。ほんの十数メートルの距離とはいえ、鮮やかな原色の制服姿で公道を歩くのは恥ずかしい。  高谷さんに「それでは行ってきますね」と伝えると、彼はこう言い放った。 「全部、飲んでね」  意味はよくわからなかったが、私は会釈をして店を出た。
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配達料はコーヒーの一気飲み?
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