更新日:2023年04月18日 10:56
ニュース

ソウル発「反日デモ」に密着。若者たちが絶叫するNO安倍の真意とは?

反安倍デモに交じって朴槿恵釈放求める団体も

 さらに集会の横を通った30代の主婦は「不買運動やNO安倍運動には基本的に賛成」としつつ、「少し心配だ」と吐露した。 「このような集会は、むしろ安倍政権にとって有利になるんじゃないかと心配です。平和的な集会であっても、日本の右派メディアが刺激的に報道し、それを見た日本の人々が、韓国が理由もなく日本を憎んでいると誤解するかもしれない。それは、究極的には安倍が望むことではないでしょうか」  話を聞いていると、韓国社会で集会やデモに参加する人々の多くは、日韓の関係悪化の根源を安倍政権にあると考えている。「我々は反日運動をしているわけでは決してなく、過去の軍国主義の栄華を復権させようとしている安倍首相や政権運営者を批判している」というのが、彼らの主張のようだ。 「日本でデモを報じる際は“反日”として十把一絡げにされてしまいますが実態はもっと複雑。国旗を踏みつける極右や目立ちたがり屋の政治屋もいれば、安倍首相だけを批判する左派もおり、声に出さずとも不買運動に賛同するサイレント層もいます。ただ今回は過去のものと異なり、全体的に安倍政権が対立の原因だという認識が皆の間で強まっています。デモや集会のターゲットも安倍政権に変化しています」(韓国紙記者)
反日デモ

集会参加者に配る大量の「NO安倍」と書かれたボード

 ちなみに、韓国には「反共」を標榜して日米韓の関係を重視する伝統的な保守もいる。反日集会が行われていたのと同じ頃、ソウル随一の観光スポット・光化門では、極右団体「ウリ共和党」が集会を開催していた。彼らは文在寅政権が北朝鮮との距離を縮めるため、反日を煽っていると指摘。朴槿恵前大統領の弾劾を無効とし、即刻釈放すべしと主張していた。
反日デモ

極右団体の集会で「朴槿恵を釈放せよ」と声を上げる人々

 そんな8月のソウルの光景を見ていると、「混沌」という言葉がしっくりくる。両国の政治を取り巻く、それぞれの立場の人々がさまざまな意見を主張しぶつけ合う。その中心にある大きなストリームが「NO安倍」なのだ。  しかし、これには大きな違和感を覚えずにはいられない。仮に安倍首相が政権の座から降りたからといって、日韓関係は好転するのだろうか。おそらく答えは否だろう。日本および韓国の両社会には、埋めがたい感覚・認識の差があるように思えてならなかった。 「独立運動には参加できなかったが、不買運動はやろう」  最近、韓国で流行している言葉だ。若者たちの間では、日本製品の不買運動が、戦前・戦中の独立運動と同列に語られているのである。 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!8月20日発売号「ソウル発[反日デモ]に密着」より
1
2
週刊SPA!8/27号(8/20発売)

表紙の人/乃木坂46

電子雑誌版も発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!
おすすめ記事