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アニメ化決定!『池袋ウエストゲートパーク』が伝説のドラマになったわけ

 今から約20年前に放送され、センセーショナルなストーリー展開と独特な演出で、当時の若者たちを虜にしたドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)が、2020年にアニメ化という形で帰ってくることが決定した。  そこでアニメ放送の予習も兼ねて今こそ、いや、今だからこそ見ておきたいドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(以下、I.W.G.P.)のスゴすぎる魅力を紹介する。

(写真はイメージです。以下、同)

世紀末の池袋で起きる社会問題に立ち向かう

 まずは主なストーリーを振り返りたい。池袋で暮らすプータローの真島マコト(長瀬智也)は実家の果物屋を手伝いながら、その大半の時間を友人のマサ(佐藤隆太)、シュン(山下智久)と池袋西口公園(通称、ウエストゲートパーク)で過ごしていた。  しかし、女友達のリカ(酒井若菜)が殺されたことをきっかけに、安藤タカシ(窪塚洋介)率いる「G-BOYS」をはじめとしたカラーギャング集団の抗争が勃発。その後も誘拐、ヤクザ、ネズミ講などに巻き込まれるが「トラブルシューター」として事件を解決していく。  当時の社会問題を軸に、マコトの仲間を次々に殺していった真犯人を追う熱いサスペンスドラマだった。  全話平均の視聴率は14.9%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ)と、当時でいえば少し低いくらいの数字だったが、若い視聴者には熱狂的に受け入れられたことが特徴的だった。当時ネットやSNSが発達していれば、関連キーワードがバズりまくっていたことだろう。

天才脚本家・クドカンの才能が爆発!

 なぜここまで若者たちに支持され、今なお熱狂的なファンを持つドラマとなったのか?何と言っても、今や知らない人はいない有名脚本家となった宮藤官九郎の脚本の存在が大きい。  90年代のトレンディドラマの流れをまだ引きずっていた当時、若者たちのリアルな行動や何でもないセリフをテンポよく描いた手法が斬新かつ刺激的だったのだ。  元々『I.W.G.P.』は直木賞作家・石田衣良のヒット小説が原作なのだが、小説とドラマではキャラクター造形が全くと言っていいほど違う。小説版ではマコトはクールな切れ者として描かれているが、ドラマでは「メンドくせぇ!」が口癖のおバカで暴力的なキャラクター(素人童貞)として描かれる。  それだけでなく、宮藤脚本の代名詞にもなるマニアックな小ネタも炸裂。ドラマ版はシリアスな展開とコメディ要素が見事に交差したノンストップストーリーに仕上がっている。  さらに、マコトの母親・リツコ(森下愛子)やその他のキャラクターの“家族”について深掘りしている点もドラマ独自だ。そのおかげで現代的な家族像をドラマに盛り込めているのだ。  筆者的には、マコトが口癖だった「メンドくせぇ!」というセリフを最もシリアスなシーンであえて使うという“脚本の妙”にしびれた。ぜひ本編で確認してほしい。のちの活躍を想えば納得ではあるが、この画期的な脚本を初めての連ドラでの仕事でやってのけた宮藤も流石だ。  ちなみに宮藤を抜擢した磯山晶プロデューサーは、上司に脚本を見せる際、まだ無名だった宮藤官九郎の名前を別の人気脚本家の名前に変えて提出していたという逸話も残っている。
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長瀬、窪塚、山P…豪華すぎるキャスト
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