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1億円ランナー設楽悠太の常識外の個性。冷蔵庫にはビールと炭酸飲料…

 来年の東京オリンピックマラソン代表を争ったマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。特に男子では序盤から飛び出し、一人旅を続けながら最終盤に失速した設楽悠太の走りに注目が集まり、切符の行方と共にその姿が強く印象に残るレースとなった。  そんな今大会の「もう一人の主役」の異質な個性とは。

独特なアスリートとしての姿勢

 MGC出場選手によるレース前のウォーミングアップ中、時折笑顔をみせる選手がいた。 「決戦」を前に、殆どの選手が顔をこわばらせ緊張を滲ませる中、設楽悠太は身体を動かしながら口元を緩ませてたのだ。  さらに前日の会見でのコメント「(ペースが遅かったら)誰もついてられなくなるまでスピードを上げたい」という言葉や、レース開始直前、全選手がスタート位置に姿を現した際でもドリンクを手にしていた設楽の佇まいからは、余裕と、太々しさも感じられた。  スタート後は早くから宣言通りの一人旅。まるで集団を先導するかの如く他のランナーたちの前に出ると、みるみるうちにその距離を広げていく。2kmにたどりつく頃にはすでに集団は見えなくなっていた。  このMGCというレースが近づくにつれ、今まで以上に設楽悠太というランナーが語られる中で、独特ともとれる人間性、アスリートとしての『異質さ』がフォーカスされ続けた。  マラソンの練習として重要視されてきた40km走は「体へのダメージ」が残ることを考慮し行わないことはもはや広く伝わっている。  さらに日常生活においては、本人の過去のコメントにおいて「お酒はよく飲む。レース後の楽しみは友人との飲み会」であると明かし、当日テレビ中継解説者だった高橋尚子氏からも、かつて設楽の自宅を取材で訪れた際「冷蔵庫の中には炭酸飲料とビールしか入っていなかった」というエピソードが紹介されている。  さらにこのMSGへ向けては事前のコースの試走も「時間がもったいない」との理由から行わなかったとも伝えられていた。

作戦通りの独走

 序盤からの大独走は、五輪を目指す選手としては型破りともとれるその個性がそのまま表れたようなレース展開であり、また観ている側も、これまでの重要なレースではあり得なかった程のシチュエーションをその人間像と重ねるものも多かったのではないだろうか。  夏のレースとは思えないスピードで走り続ける中、10kmあたりでは沿道からの声に左手を上げて反応するなど、ここでも余裕の表情は変わらず、且つ15Kmを過ぎても国内最高タイムを上回るペースを崩さなかった。  前日の会見の中で勝負所を問われると「(スタートからの)10km」と答えており、自分のリズムで走るためにもっとも重要なのが最初の10kmであると語っていたことからも、やはりこの日の走りは自身のシナリオ通りだったことは間違いない。  他の選手とはかけ離れた独特の思考。周囲をけん制し合いながらの展開などはハナから頭に無かったということか。
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急失速からの敗北、そして更なるチャレンジへ
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