10日で300杯! 日本のビールを飲み干したアイルランド人カップルが見た日本戦
そして迎えた28日、静岡での日本戦。アイルランド人の グレッグとメイヴは、「アイルランドの勝利は疑っていなかったけど、僅差の勝負になるとは思っていた」そうだ。前半を12対9の3点リードで折り返したとき、彼らはそれぞれ席を立ち、ビールを5杯ずつ買って自席に戻ってきた。隣に座っていた記者にグレッグが話しかけてきた。
「後半、日本が先にトライを決めて逆転したら、アイルランドには非常にバッドな展開だ。アイルランドはワールドカップで3点以上のビハインドを背負った試合は全敗してるからな」
果たして後半18分。福岡堅樹が逆転のトライを決めたとき、隣の彼らは頭を抱えつつ、次の瞬間に日本人の私に握手を求めてきた。「早いパスからの、いいトライだったな!」
母国の逆転を信じていたふたりは、緑のユニフォームに身を包んだ同胞の仲間たちとラグビーアイルランド代表チームのアンセム「Ireland’s Call」をシャウトしていた。「オレの出身はこっちで、彼女はここの出身なんだ」と、歌詞に出てくる地方の名を教えてくれたが、グレッグ、ごめん。試合の興奮で君がどこ出身だったのか、きれいに忘れてしまった……。
30日の午前中、その後の代表チームの奮闘を見ず、羽田空港からアイルランドに帰国したグレッグとメイヴは、最後にメールで回答をくれた。「一生忘れない素敵な旅だったよ。日本に勝てなかったのは残念だったが、彼らは勝つべくして勝った。我々(アイルランドチーム)は大丈夫、これがイングランド相手だったら大ごとになっていたけどな。ファイナル8(準々決勝以降)で再戦できたらいいな」
そんな彼ら2人が10日間の日本滞在で飲み干したビールは……。
「1日15パイント(約15杯)を10日間続けたから、2人で300パイント(約300杯)だな!」
恐るべし、そして愛すべきアイルランド人サポーター。今頃、家に着いて、いつものパブでワールドカップを觀ているのだろうか。
取材・文・撮影/ラグビーワールドカップ取材班 1
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