「復興の力へ!」ラグビーの聖地・釜石でW杯が開催。食品の持ち込み解禁の影響は…
ラグビーワールドカップ2019日本大会は25日、岩手県釜石市の鵜住居(うのすまい)復興スタジアムで、1次リーグのフィジー(世界ランク10位)vsウルグアイ(同19位)が行われた。
釜石市は東北で唯一の開催地に選ばれ、今大会12会場で唯一新設されたスタジアムだ。このスタジアムは’11年3月の東日本大震災の津波で全壊した釜石東中、鵜住居小の跡地に建設され、’18年7月に完成した。’11年3月の津波ではこの地区は死者・行方不明者583人という被害を出したという。
記者も同地を訪れた。東京から盛岡まで東北新幹線で約2時間半。盛岡からローカル線のJR釜石線と三陸鉄道リアス線を乗り継いで3時間、計6時間弱という“長旅”であった。
釜石駅に降り立つとまず目に入ったのは駅前にそびえ立つ「日本製鉄釜石製鉄所」。日本最古の製鉄所で70年代の新日鉄時代、ラグビー部は日本選手権7連覇を成し遂げた。まさにここは「ラグビーの聖地」といえる迫力だ。
釜石駅から朝の連続テレビ小説『あまちゃん』で有名となった三陸鉄道リアス線に乗り、2駅。トンネルを抜け、鵜住居駅につくと様相が一変する。ガランとした空き地にポツポツと建物が立っており、数百メートル向こうにスタジアムが見える。かつては住宅があった場所は多くの空き地と、真新しい建物や建設中の住居があちこちにある。
仮設スタンドを増設したスタジアムは16,334人の収容人数を誇るというが、それよりも小さく見える。本来はメインスタンドとバックスタンドしかなく、W杯のためにサイドスタンドを仮設で増設しているのだ。
選手控室などの施設は、地元の木材を素材としたつくりになっており、スタンドの座席も木で作られている部分があり、コンクリートづくりにの巨大スタジアムと違って、温かみのあるつくりとなっている。
スタジアムのまわりは東北6県から集ったキッチンカーが集結。華やかな屋台村を形成していた。
開幕戦などで飲食物が不足するという事態を受けて、大会の主催者は「食品の持ち込み」を解禁したが、果たして影響はあるのだろうか。
【参考記事】⇒ビールは大量にあるが食べ物、お茶がない…ラグビー開幕戦日本vsロシア戦顛末記
隣町の大槌町からは「焼き牡蠣」や「マンボウの唐揚げ」(500円)、盛岡からは名物の「じゃじゃ麺」(600円)などの屋台が出店。ポテトやからあげが多い、首都圏の飲食ブースとは大違い。マンボウの唐揚げはコリコリとした食感が焼き肉のミノのよう。ビールが飲みたくなったが、取材があるので我慢。
開幕戦の東京スタジアムで起こった顛末などを念頭に、屋台の人に飲食物持ち込みの影響を聞くと「あんまり気にしていないですね。それより、そんなに食べ物なくて大変だったんですか!?」と逆に心配されるほど。観客を見ても、持ち込みの食品を食べているのは子連れの観客で、おにぎりや、この日は暑かったこともあって、熱中症対策のゼリーなどを子供に摂らせる人が目立ったが、多くの人々は多彩な東北のグルメを楽しんでいた。
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