更新日:2023年04月19日 21:03
スポーツ

ビールは大量にあるが食べ物、お茶がない…ラグビー開幕戦日本vsロシア戦顛末記

 ついに始まったラグビーワールドカップ日本大会。開幕戦は日本代表がロシア代表を30-10で下し、悲願の決勝トーナメント進出へ大きな一歩を踏み出した。  記者は東京スタジアム(味の素スタジアム)で行われたこの開幕戦をスタンドで観戦。会場の雰囲気や動線などをリポートしたい。  開幕戦のキックオフは19:45、その前に開会式のセレモニーが18:30に始まることが決まっていた。サッカーW杯(ブラジル、ロシア)、五輪(リオ)を現地観戦した身としては2時間前にはスタジアムに入ることを“掟”としていたが、いろいろ立て込んでしまって新宿駅を出発したのは18時。  東京スタジアムへは京王線で最寄りの駅の飛田給まで約25分、試合開催日には特急が臨時に止まり、20分ほどで着くとアナウンスされていた。JRから京王に乗り換える動線となる西口改札には日本とロシアの国旗が描かれた案内看板を持っている駅員や英語で口頭で案内している駅員もおり、外国人にも親切であった。

最寄り駅の飛田給も大混雑を予想していたが、意外とスムーズ

 無事に京王線特急に乗ったのが18時ちょうど。帰宅の途につく通勤客と赤白のジャージをまとった人、テンションの高い外国人グループなどでラッシュ並みの混雑であった。飛田給駅には5分遅れで到着。その際英語と韓国語、中国語そしてロシア語でもアナウンスが流れたのには驚いた。今後は試合の当該チームに合わせてフランス語やスペイン語などでも行われるのだろうか。  試合2時間前、開会式5分前にもかかわらず、改札から徒歩10分ほどで入場ゲートまでたどり着いた。拍子抜けするほどのスムーズさ。ゲートは確かに人でごった返しているが、「チケット券面に書かれているゲート以外からもご入場いただけます」というアナウンスが繰り返され、正面だけではなく空いている両サイドにも観客を振り分けていた。
ラグビー

正面入口は混雑も、両サイドに観客を誘導し、スムーズな入場。見上げると「AJINOMOTO STADIUM」という看板が白布で隠されていた

 過去のラグビーのW杯では、入場ゲート前ですでにベロベロになっている人がいるというのがお約束になっているのだが、そんな外国人も皆無。ロシア国旗を手にさっそうとゲートをくぐるロシア人もいた。  競技場への持ち込み禁止物がチケットに大きく書かれている。「武器」「飲食物」「ビン・カン」「長傘」「自撮り棒」「ドローン」……。ここで大きく問題となるのは「飲食物」だ。大会スポンサーの大手ビール会社の利益を守るため、いかなる飲食物も持ち込み禁止となっている。

缶類は持ち込み禁止。入場前に気勢を上げた人々もたしかにいた

 荷物チェックでは警備員からリュックに手を突っ込まれ、「食べ物、飲み物はないですね?」と念を押される。そのあと驚くほど簡易な金属探知機、チケットのQRコードチェックを経て、晴れて入場となった。ここまでわずか10分くらい。「当日は混雑により入場に60分以上かかる場合もあります」とチケットには書いてあったが、入場ゲートに融通を利かすことによってスムーズに入れた。海外では「武器」持ち込みの心配があるが、ここは日本。セキュリティチェックのガードは低いようだ。

試合開始1時間前でどこも「SOLD OUT」

 しかし、地獄はここから始まった。競技場内で飲食物を調達しようとすると、どの食べ物も「売り切れ」。あまたある飲食ブースにはどこも「SOLD OUT」の文字が無慈悲にも踊っていた。その告知が少ないブースは長蛇の列。「なんで1時間前で食べ物が売り切れてんだよ!」「補充しないのか!」と怒号も飛ぶ始末。「次からは改善します」と係員は謝罪していたが「次はないんだよ!」と強烈なひと言をぶつける人もいた。  飲み物ブースは別れているのだが、生ビール「1000円」という文字にひるむ。さらにはソフトドリンクが売り切れているブースもあった。

食べ物を販売している数少ないブースは長蛇の列。手際もさほど良くなく苛立ちが高まる

「持ち込み禁止にしておいてそりゃぁないよ……」。飲まず食わずで駆けつけた記者は呆然とした。  座席を探そうとするも開会式の演出で真っ暗で、席すら探すのに苦労する。ウロウロしていたら外国人ボランティアから「お座席大丈夫ですか?」と日本語で声をかけられ、席の場所はわかったのだが、喉の渇きに耐えられない。
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「命の水」を発見!
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