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避妊も男女平等へ。男性用「避妊ピル」の研究が進む

パイプカットも日本はいまだに旧式の手術

 ただ、こうした最新の男性用避妊法が日本に上陸したからといって、普及するかどうかは別問題だろう。例えば日本でも、男性のための避妊法としてパイプカットが長い歴史を有しているが、普及しているとは言えない。パイプカット手術専門の銀座MUクリニック院長、上野学氏は言う。 「欧米では、『子供はこれ以上つくらない』という家庭計画に基づいて、パイプカットを受けるのは責任感のある男だと評価されます。しかし、日本では『パイプカットを受けるのは遊び人』という負のイメージが根強い。日本では年間16万件以上の堕胎手術が行われていますが、中年女性が夫との間にできた子供を中絶する例も少なくない。夫がパイプカットを受けていれば防げる悲劇です。海外では当院でもやっているNSV法というメスを使わない方法が主流ですが、日本ではメスで陰嚢を2か所切開する旧式の手術法を用いる医師がほとんどで技術も遅れている」  前出の福田氏もネガティブイメージが避妊法の普及を妨げていると指摘する。 「日本ではピルを飲んでいるというだけで、『性に奔放な女性』というレッテルを貼られてしまう。まずはそうした偏見から変えていかなければいけません。ただ、経口避妊薬の開発から、日本で処方できるようになるまで40年近くかかっており、容易ではない」  日本で避妊薬の選択肢が増えない理由について、厚労省医薬食品局安全対策課はこう答える。 「新薬の承認やOTC化(市販化)は、基本的には製薬会社からの要望を受けてから検討に入ることになりますが、低用量ピルやモーニングアフターピル、そのほかの避妊薬については、そうした要望を受けていない。また、弊省のHP上には、一般消費者の方からのご意見を頂戴する窓口もありますが、低用量ピルやその他の避妊薬へのアクセスを容易にすべきという世論は高まっているという認識は現在のところありません」  日本が世界レベルに追いつくためには、「避妊は二人の問題」という意識が必要だろう。

葉っぱを食べて避妊。民間伝承の秘薬とは

 男性用避妊薬に関しては、紹介したようなホルモン剤のほか、植物を利用したものも存在する。  例えばインドネシアでは’16年から販売されている「避妊サプリ」がある。パプア州に住む男たちが古来から避妊に使用してきた「ガンダルサ」だ。キツネノマゴ科の低木の葉から抽出した成分で作られ、精子に含まれる酵素の働きを抑制する作用があるという。持続的に摂取することで99%の避妊率を誇るという。  民間伝承の避妊法としてはアフリカのソマリ族に伝わる「ウアバイン」もそうだ。ソマリ族は伝統的に、キョウチクトウ科の植物から抽出したこの毒物を、狩りに使用する矢に塗ったり、避妊薬として男性が摂取していたという。近年、米オレゴン国立霊長類研究センターの研究チームによって科学的に避妊効果が認められ、この成分を使った避妊ジェルの開発も進められているとか。  いずれも試すのは怖いが、避妊も男女平等の時代へ進んでいるのは間違いなさそうだ。 取材・文/奥窪優木 アズマカン 写真/ShutterStock
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