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香港の民主主義が死んだ日。警察の実弾発砲を正当化する工作も…

鎮圧行為はエスカレート

 4日にはまたも警察が人に向けて実弾を発砲。14歳の少年が脚を撃たれた。覆面禁止法の導入を契機に鎮圧行為はエスカレートしつつあるという。香港人記者のKK氏が話す。 「拘束した抗議者に過剰な暴力を振るうのは、もはや当たり前という姿勢です。さらに政府は大量の逮捕者を収容する準備を進めている、という話も流れている。ベトナム戦争が発生した際には、多くの難民が香港に流れ着いたため、香港島の南に位置する無人島を整備して難民を受け入れました。その施設を改修して収容所にするというのです」  KK氏は「10月4日は香港の民主主義が死んだ日」と表現する。緊急法の発動により北京政府の意向を受けた行政長官の独裁体制が敷かれたうえに、市民を守るべき警察が市民の生命を奪いかねない暴力行為に手を染めたからだという。一体、香港は今後いかなる道をたどるのか? 「4日には11月24日投開票の香港・区議選の届け出が始まりました。現在は親中派が多数を占めていますが、中選挙区制の普通選挙であるため、民主派が大幅に議席を伸ばすことが予想されます。しかし、香港政府は早くも混乱状態にあることを理由に選挙の延期を匂わせている。  北京政府の意向で、雨傘運動で学生リーダーを務めた黄之鋒(ジョシュアウォン)など、中国に批判的な候補者の被選挙権が停止される可能性もある。そうなれば抗議活動はさらに過激化するでしょう。対する政府は緊急法を利用して一層、抗議者の締め付けを強化する可能性があります。  以前から噂されているのは、SNSで情報交換する抗議者の分断を目的としたネットの遮断です。仮に実行されれば、香港の経済は大打撃を受けます。国際金融市場としての機能は停止して中国にも大きな損失をもたらし、外圧も強まる。  米国は香港政策法という法律を持っており、香港の自治が失われたと判断すれば、中国と同じ扱いで関税などを課すことも可能なのです。ただ、抗議者たちはすでに中国を道連れにする自殺行為を受け入れている。だから、香港政府も中国も打つ手がないのです。政府が譲歩しない限り、過激な抗議活動は続くでしょう」  4日には抗議者たちが各地で“臨時政府”の樹立を宣言。もはや香港政府、抗議者ともに後戻りできない状況に陥っている。これ以上、市民の血が流れないことを祈りながら、香港の行く末を見守りたい。 取材・文/週刊SPA!編集部 写真/AP/アフロ ※週刊SPA!10月8日発売号「今週の顔」より
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週刊SPA!10/15・22合併号(10/8発売)

表紙の人/ 高畑充希

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