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『いだてん』がついに視聴率3.7%でも、TV業界内の意外な評価とは

視聴率がすべてじゃない。この『いだてん』神回を見よ!

 一方で、脚本家2名からは好意的な意見も述べられた。まずは、歴史好きでもある女性アニメ脚本家のC氏だ。 「まず、歴史モノの難しさとして史実を集めることが大変なんです。戦国時代はある意味、想像で書いてよい部分もあったりしますが、近現代の話となると大胆なフィクションは入れづらいうえに、大きな戦争があったことで残っている資料も少ない。その点でNHKスタッフやクドカンは相当調べて作っていたという印象です」 「ドラマとしても面白かったです。特に、当時の女性差別とスポーツの壁を描いた21回から24回くらいは『神回』が連発です。海外で女性がスポーツを楽しむ姿に感銘を受けた金栗四三(中村勘九郎)が、女子の体育教育に力を注いでいくんですが、当時の女性差別や軽視と真剣に向き合う金栗と、シマ(杉咲花)や富江(黒島結菜)の演技力にも感動させられました」

クドカンドラマはミステリー?

 さらに、刑事ドラマを手掛けて数十年のベテラン脚本家D氏からはこんな意見も。 「クドカンドラマはいつも初回から中盤までは面白くない。それは、キャラクターの性格や関係性を少しずつ描いていくから。あとから「そうだったのか」と思わせるのが彼の狙い。ただし、今回は序盤で古今亭志ん生について描いて、メインの主人公以外に触れなきゃいけないエピソードが多すぎてとっちらかったまま、ここ(37話)まで来てしまったんだよね。キャラクター同士のつながりなどは来週からの最終章ですべてがつながるはず。クドカンドラマはミステリーと一緒なんですよ(笑)」
 27日の放送からいよいよ最終章に突入。いよいよクドカンらしい散りばめられた伏線が回収され、ドラマチックな展開の応酬になることを期待したい。また、プロ野球やラグビーW杯が終わり、ようやくオリンピックへの盛り上がりが高まってくることも視聴率アップの追い風となるだろう。  どうにか、残りの回で平均視聴率15%をマークすれば、“メダル”獲得に値する数字と言えるのではないだろうか。<取材・文/木田トウセイ>
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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