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SNSで炎上「すいません禁止」の居酒屋で「すいません」と注文したら…?

店主に騒動を直撃した

「すいません」も「名前呼び」も試して見たところで、貼り紙の意図とSNSの炎上による影響について店主に聞いてみた。 ――すごい炎上していますが、「すいません」をガチで禁止してるわけではないんですね? 店主:そうですよ(笑)。そんな堅苦しいこと、絶対禁止ではありません。だから、お手洗いにしか貼っていませんし。 ――どんな意図があったんですか? 店主:この店を始める前に勤務していた居酒屋も同じように「すいません禁止」になっていたんですよ。そこで、名前を呼んでくれるお客さんが増えて来て、そうした方々がこの店を出してからもずっときてくれてるんです。だから、今ここで働いてる子たちも名前を覚えてもらって、独立した時の助けになればと思ったんです。 ――ちなみに、名前呼びがきっかけでトラブルになったことは? 店主:何もないですね。 ――今回、「すいません禁止」が拡散された時はどんな思いでしたか? 店主:やっぱり見るのは嫌でしたね、ものすごく。 ――それでも貼り紙を外していない理由は? 店主:気にしても仕方ないかなと。そしてアルバイトの子たちは実際名前を覚えてもらって、しっかり働いてくれているので。 ――実際に独立を目指してる人がいるんですか? 店主:はい、今日働いている子の中だけでも2~3人いますよ。魚を焼いてる彼もそうです。まだ20歳そこそこですが。自分の店を出そうと頑張っています。
さささのさ

20歳そこそこの店員さんが焼いてくれた魚。うまい

 確かに、アルバイト従業員の働きっぷりや眼差しは、小遣い稼ぎに来ているアルバイトのそれとは全く違うものだった。店主は自身が名前を覚えてもらって送り出され、今のお店がある経験から次の世代にも、その恩を引き継ごうとしている。
さささのさ

料理がうまかった

 そうした気概のある人間が料理をつくり接客をするので、どの料理も丁寧に作られていておいしかった。もちろんそれは簡単なことではなく、カウンター越しにもそれぞれの店員さんが丹精を込めて仕事をしているのがわかる。今回は、刺身や煮込み、「原始焼き」となづけられた魚の焼き物などをいただいたが、日替わりのメニューなどもあるとのことなので、またお邪魔したい店だ。

人を潰すのは簡単。でも、待って。

 自分での広告がリーチできる範囲の限られる、個人経営の飲食店にとって「口コミ」は非常に重要なアピールの機会である。もちろん良い悪いの判断は人それぞれだが、今回「さささのさ」に来てみて、SNSでいわれるネガティブなイメージは一切持たなかった。  SNSに投稿した人は、実際に来店しての感想も含まれていると思うが、それが人々の1タップで2万回以上もリツイートされる事態。私たちは、気軽に発信できる利点を大いに享受しているが、その気軽さで情熱を持った誰かの邪魔をしてしまっていないか、立ち止まって考えてみる必要があるのかもしれない。<取材・文・撮影/Mr.tsubaking>
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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