一世を風靡した「萌え寺」のいま、住職を直撃してみると…
「萌え寺」として話題になった、西八王子にある了法寺を知っているだろうか。2009年に境内に出現し、萌え系イラストで描かれた境内案内の看板がゴールデンのテレビ番組で取り上げられると、一気に多くの人の知るところとなった。その後、了法寺は電波系ソングを発表したりLINEスタンプを発売したりするなど、勢い止まらぬ様子を見せていた。
取材に対応してくれたのは、中里日孝住職だ。
――そもそも、何を思って萌え寺にしたんですか?
中里日孝住職(以下、住職):実は「萌え寺」にしようとしたわけではないんですよ。境内の看板がどうしても難しい言葉ばかりなので一般の方にも、興味を持ってもらう方法はないかと考えていまして。
――キャッチーな看板を設置しようと考えたんですんね。
住職:そうなんです。そんな時、アキバ系アイドルでイラストレーターの「とろ美」さん(萌え看板の作者)を知人から紹介されて、あの看板が誕生しました。その時に彼女の歌をきいてみたのですが、電波ソングというものを知ってとにかくびっくりしました。実は私自身、お寺をこんな感じにしていいのかと、ものすごい抵抗がありましたね。
――檀家さんやご家族からも反対の声があったんじゃないですか?
住職:檀家の役員さんや家族にも相談したんですけど、それが反対がまったくなかったんですよ。私より年上の方も多いのに。入口が狭いので外からはお寺があるのかないのかもわからないような状態でしたし、周りの人も反対がなかったので、制作することにしたんですよ。
――テレビなどでも取り上げられ話題になると、それまでとは変わりましたか?
住職:全然違いますね。多いときは1日に何百人もの方が見えることもあって、驚きました。ここを見るためにわざわざ日本に来たという、外国の方も増えましたね。
――話題性だけでくる人の中には、困った行動をする方もいたと思うんですが。
住職:それが、ほとんどというか、ありがたいことに全くなかったんですよ。
しかしふと「最近名前を見かけていないな」と感じた筆者、了法寺のHPを見てみると、新着情報が1年前の2018年末で止まったままだった。またTwitterからの発信も、たまに「本日は写経会です」といった事務連絡がポツポツあるのみ。萌え寺に一体何があったのか、話を聞いてみることにした。
萌え寺になったきっかけは?
最近、おとなしくなった真相は!?
――それだけ話題になっていた時期がありましたが、今はHPもずいぶん更新されていないようですし、Twitterも写経のお知らせがたまに投稿されるだけですね。 住職:そうですね。あのHPも看板が話題になったから作ったものでしたので。というより、先ほども言いましたがもともと「萌え寺にしよう」とおもってはじめたわけではないので。 ――まだ萌え看板は設置してあるそうですが、現在はお寺としては日々のことを着実にというところですね。 住職:お写経会などの情報は檀家さんにも必要なことですので、お知らせしています。 ――また今後、何か新しいことを始める予定は? 住職:看板のこともあって「前向きに進む」ということが大切だとわかったので、またなにかアイデアがあればやりたいとは思っています。ただ、今は檀家さんと来てくださる方を大事に、とも思っています。本日14時からは了法寺写経会です。了法寺では毎月第四日曜日に写経会を開催しております。参加費は1000円、日本赤十字社へ寄付させていただいております。初めての方も手ぶらでご参加いただけますのでお気軽にお越しください。#hachioji #了法寺 #hachiojihttps://t.co/haAHFi5aL1
— 了法寺 (@ryohoji) 2019年11月24日
1
2
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ
日刊SPA!の人気連載