柔道五輪代表争いは稀にみる激戦…66kg級で阿部一二三と争う丸山城志郎に注目
世界王者としての風格、そして五輪でも
準決勝で阿部を破り3連覇を阻止し、大会中に右足に負傷しながらも韓国・キムインファンとの決勝、残り時間30秒で決めた一本勝ち。ポイントでリードしながらも終始、前に出て攻めの手数を緩めなかった。繰り出される技の切れ味は研ぎ澄まされており、無表情で圧力をかけ続ける「不動心」を体現するその佇まいには凄みさえ感じられていた。 そして、勝利を確信し全てを理解した後の、勝者となった瞬間の表情。静かに、それでもこらえ切れずに、喜びが滲み、両拳を握る。最後まで力強さに溢れた背中と、澄み切ったその瞳からは真の柔道家としての誇りが漂っていた。 この美しい姿を、来年の東京五輪の舞台でもう一度、みられたら――。今もそんな思いが頭から離れないでいる。<文/スポーツライター・佐藤文孝>
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