更新日:2019年12月08日 17:50
スポーツ

柔道五輪代表争いは稀にみる激戦…66kg級で阿部一二三と争う丸山城志郎に注目

世界王者としての風格、そして五輪でも

 初出場・初優勝という快挙を成し遂げた世界選手権では丸山がこれまで辿ってきた足跡、そして表現する柔道の神髄がみえた気がした。

 準決勝で阿部を破り3連覇を阻止し、大会中に右足に負傷しながらも韓国・キムインファンとの決勝、残り時間30秒で決めた一本勝ち。ポイントでリードしながらも終始、前に出て攻めの手数を緩めなかった。繰り出される技の切れ味は研ぎ澄まされており、無表情で圧力をかけ続ける「不動心」を体現するその佇まいには凄みさえ感じられていた。  そして、勝利を確信し全てを理解した後の、勝者となった瞬間の表情。静かに、それでもこらえ切れずに、喜びが滲み、両拳を握る。最後まで力強さに溢れた背中と、澄み切ったその瞳からは真の柔道家としての誇りが漂っていた。  この美しい姿を、来年の東京五輪の舞台でもう一度、みられたら――。今もそんな思いが頭から離れないでいる。<文/スポーツライター・佐藤文孝>
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