更新日:2019年12月16日 14:54
仕事

転職6回・48歳男性が“嘘求人”に振り回されても「焦りはない」ワケ

「人生の折り返し地点すぎると、むしろ不安は減る」

 嘘求人の問題に話を戻すと、「入社後にもらった通知書は求人票よりも効力のあるもので、待遇や条件が悪くなっています。これを受け取ったことが契約書にサイン・捺印したことになるそうですが、あくまで一方的な通知で、今回のケースは金銭の返りも大きい」とのことで、相談した弁護士からは「争う余地はある」と、説明されたという。  事務職としては20年以上のベテランで、資格なども転職で有利にはたらいてきたようだが、年齢による転職市場での変化や苦労もある。 「大きな会社の求人は40代でなくなりました。たまに大きい会社がネット求人で事務職でも経理や財務など年収800万円とかで募集しているときありますが、よほどのキャリアじゃないと。時代とともに法律なども変わるので、やはり単に資格を持っているだけではダメですね。私は色んな会社の何でも屋みたいな部署を経験する機会も多かったので、応用を利かせて広く浅くという感じです」  会社の問題点を指摘することも大切なことだろうが、人間関係の不満なども含め、清濁併せ吞むほうが総合的にラクに感じるようなことはないのだろうか。 「これまで辞めた会社は他の社員ともたいてい揉めていましたし、別に会社に残れなくても最終的にとれるものとって、次の転職に備えればいいと考えられるようになりました。不安もなくはないですが、転職期間も勉強してスキル磨く期間と思えば。  転職を何度もしていると周りから心配されますが、就職氷河期で就職した同年代の友人で転職経験がない人は3~4割程度で、わかってくれる人が多いです。年齢とともにいろんな経験して、話題になった老後資金くらいの蓄えもでき、焦りは減ってきましたね。大卒で会社員生活43年として、前半は不安なことばかりでしたが40代になると人生の折り返し地点も過ぎたんで」  最近は趣味も兼ねて英会話レッスンを受けているそうで、平均3年に1度ほどのペースで転職を繰り返しながらも、独身でまとまった貯金もあるMさんの言動からは精神的な余裕まで感じられた。<取材・文・撮影/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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